2021年12月1日水曜日

口腔機能低下症

 ゲスト/医療法人社団アスクトース 石丸歯科診療所 内山 喬博 副院長


口腔機能が低下した状態とはどういうことなのでしょうか。

 最近、以前に比べて「食べ物が口に残る」「食事の時にむせるようになった」「薬などが飲み込みにくくなった」「口の中が乾く」「食べこぼしをするようになった」「滑舌が悪くなった」などと感じている方はいらっしゃいませんか。これらはお口が元気をなくしてきているサインで、専門的には口腔機能低下といいます。

 お口が元気をなくす要因としては、加齢や全身のさまざまな病気もありますが、入れ歯や銀歯などが合わなくなっていることや歯周病で歯がぐらついていることなど、口の中に原因があることが多いです。

 お口が元気でなくなると、好きなものが食べられなくなったり、食べにくい野菜や肉などを避けたりするようになり、栄養の偏りやエネルギー不足を引き起こします。結果、元気が出なくなり、疲れやすく病気にもなりやすくなります。また、口の乾燥や汚れで口臭が発生したり、話しにくくなったりすることで、人と会うことに不安を感じ、外に出掛けることを億劫に感じて家にこもりがちになってしまうケースも目立ちます。

 このようにお口の健康は全身の健康に大きく影響を及ぼします。歯科医院では、簡単な検査でお口の健康度・元気度を調べることができるので、上手に利用してほしいです。


どのような検査や治療を行うのですか。

 〈舌についた汚れの量〉〈お口の乾燥状態〉〈かむ力〉〈舌と唇の動き〉〈舌の力〉〈かめているか〉〈飲み込めているか〉、これら7つの項目について歯や舌の状態のほか、唾液、発音などを調べ、3項目以上に問題がある場合、口腔機能低下症と診断されます。

 治療は、口腔機能低下症を引き起こしている原因を見つけ、それを取り除くことでお口の健康を取り戻していきます。例えば、入れ歯や銀歯が合わないことが原因と分かったら、調整したり作り直したりします。また、歯周病が原因なら、歯石を取るなど歯垢を除去する治療をして歯周病の進行を食い止めます。お口周りや舌の筋力をアップする口腔体操を指導し、かむ力や飲み込む力のトレーニングも行います。口の中以外に原因があると考えられる場合は、患者さんのかかりつけの内科と連携して対策を立てることもあります。

 繰り返しになりますが、お口の健康が全身の健康につながります。お口の元気の衰えを年のせいとあきらめて放置せず、気になることがあれば早めにご相談ください。

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