2019年7月3日水曜日

高位脛骨(けいこつ)骨切り術

ゲスト/医療法人知仁会 八木整形外科病院 小野寺 純 医師

高位脛骨骨切り術とはどのような治療法ですか。
 膝の骨が変形し、痛みが増して曲げ伸ばしがしづらくなる膝関節の病気が、変形性膝関節症です。初期には立ち上がりや歩き始めに膝の痛みを感じますが、症状が進んでくると、歩けば膝が痛く、正座や階段の上り下りが難しくなってきます。さらに症状が進んでくると膝が変形し、歩くのが困難になって日常生活に支障を来たします。
 変形性膝関節症に対し、脛(すね)の骨の一部を切り、元の関節を残して変形を矯正する手術が、高位脛骨骨切り術です。変形性膝関節症では多くの人が、膝の内側の軟骨がすり減って、徐々にO脚となります。この変形のために膝の内側に負担が偏ります。そこで、自分の骨(脛骨)を切ることによってO脚を矯正し、脚の形を真っ直ぐからややX脚に変えることで、膝の外側に荷重を移動させる手術です。
 変形性膝関節症の治療は、薬(関節内注射、消炎鎮痛剤など)やリハビリ(ダイエット、運動療法による筋力効果など)、装具(膝装具、足底板など)による保存治療がまず行われます。保存治療で痛みが軽減せず、仕事や日常生活が不自由になるようであれば、手術が考慮されます。一般的には、症状が初期から中期であれば骨切り術、末期であれば「人工関節置換術(傷んだ関節を切り取り、人工関節に置き換える手術)」が行われます。

高位脛骨骨切り術の利点について教えてください。
 手術の流れは、脛骨の内側に切り込みを入れ、時間とともに骨に置き換わる特殊な人工骨を挟んで角度を調節し、チタンプレートで固定します。手術は約1時間程度で、傷はプレートを入れる約6㎝の傷が必要です。プレートは約1年後に取り除きます。患者さんは術後2週間以内に歩行練習を始めることができ、4~6週間後にはほとんどが歩いて退院できます。
 骨切り術の最大の利点は、自分の関節を温存できるので、手術後の日常生活に対する制限が少ないことです。回復すれば、人工関節では難しい正座や、テニス、ゴルフ、ジョギングといったスポーツもできるケースが多いです。
 骨切り術が適しているかどうかは、もちろん関節の軟骨の状態によりますが、患者さんの考え方やライフスタイルによるところも大きいです。主治医の先生とよく相談してください。

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