2019年3月13日水曜日

うつ病の受診のポイント

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 響 徹 診療部長

うつ病について教えてください。
 うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ない、集中できないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気です。長引く不調や、他の診療科を受診しても症状が良くならない場合も、うつ病が原因の可能性があります。ストレス社会で生きる私たちにとって、うつ病はいつ、だれが発症してもおかしくない、非常に身近な病気です。
 日常生活の中で憂うつになったり、気分が落ち込んだりといった感情の変化はだれもが経験しますが、うつ病の場合には時間がたっても気分が晴れず、喜びや好奇心をなくした状態が長期間続きます。そのため、仕事や学校に行けなかったり、体を動かすことができなかったり、社会生活に大きな支障をきたします。
 残念なことに、症状が悪化するとうつ病のために自殺をしてしまう方も少なくありません。「心のかぜ」といわれることのあるうつ病ですが、実際は「かぜ」よりもっと恐ろしい病気なのです。症状の悪化を避けるためには、早期発見・早期治療が肝心です。
 うつ病の治療には、休養、薬物療法、精神療法などがあります。治療の経過は人によりさまざま。良くなった状態が続いても、自己判断で治療をやめると再発することもあるので、あせらずに取り組むことが大切です。

受診のポイントについて教えてください。
 うつ病の多くは、ストレスが持続的にかかった結果です。ストレスによって心身が疲れきり、さまざまな症状が出ているのです。一般的に「疲労」は「休め」のサインです。うつ病にならないためにも十分な休養を取る必要があります。危険なのは、普段であれば疲れを感じてもおかしくない状態なのに、身体感覚が鈍って疲労を感じなくなっている場合です。うつ病になっている可能性が高く、一刻も早い受診が必要です。
 本人がうつ病による不調を自覚していなくても、周囲の人が「以前と様子が違う」「どこか変だ」と感じることがあります。なるべく早い段階で周囲がこれらのサインをキャッチし、うつ病に気づいてあげることが重要です。うつ病は、医師や専門家による適切な治療はもちろんですが、周囲の人が病気への理解を示し、共感してあげること、そして、受診につなげてあげることがとても重要です。

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