2018年1月24日水曜日
関節リウマチと骨粗しょう症
ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 古崎 章 副院長
関節リウマチと骨粗しょう症との関係について教えてください。
免疫の異常により、関節を構成する滑膜という組織で炎症が起き、腫れや痛みが起こり、進行すると骨が破壊され関節が変形してしまう関節リウマチ。治りにくい病気でしたが、治療の進歩で、症状が落ち着き進行しない「寛解」も目指せるようになってきました。
一方、骨粗しょう症は「いつのまにか骨折」で知られるように、無症状で進み、次々と胸椎や腰椎の圧迫骨折をきたし、生活の質を著しく悪化させます。骨折の治療が長引き身体機能が低下し、そのまま寝たきりになるなど介護が必要になるおそれもあるなど、骨粗しょう症の怖さは、骨折や転倒がきっかけで「健康寿命」を短くしてしまうことにあります。
関節リウマチの患者さんは病態的に骨粗しょう症になりやすいと考えられ、また関節リウマチは40〜50歳代の女性に発症することが多く、この時期は閉経に伴う骨密度の低下を来たし始める年代とされています。さらに、関節リウマチの治療に使われるステロイドですが、飲み続けると、骨がもろくなる場合が多いことが知られています。
つまり、関節リウマチの患者さんは「病態的」にも「年齢的」にも「治療的」にも、骨粗しょう症になりやすい状態にあるので、関節炎のコントロールはもとより、骨粗しょう症の予防や治療も必要になります。
骨粗しょう症に対する対策や治療について教えてください。
骨粗しょう症は、年齢や遺伝などの避けられないリスクだけではなく、喫煙や過度の飲酒、偏った食生活、運動不足など、日々の生活習慣の積み重ねも関係して発症するので、今の自分に当てはまるリスクに注意しながら生活改善に取り組み、定期的に骨量(骨密度)測定など検診を受けることが大切です。
治療の中心は薬物療法です。骨形成(骨が作られること)を促す薬と、骨吸収(骨が壊されること)を抑える薬など、様々な治療薬があります。特に、抗ランクル抗体薬と呼ばれる薬は、骨密度の上昇や骨折の予防効果を有するほかに、関節リウマチでみられる骨びらん(骨の一部が欠けていること)を改善させる効果もあり、2017年7月より関節リウマチの治療にも適用が拡大されました。それぞれの薬に長所短所があるので、医師とよく相談して治療薬を選択してください。
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