2017年7月12日水曜日
ストレスって何だろう?
ゲスト/医療法人社団五稜会病院 中島 公博 理事長
ストレスという言葉を毎日のように新聞やテレビで目や耳にしますが、ストレスとはどのようなものなのですか。
私たちの周りにはいろいろなストレスがあります。仕事のストレス、家事や育児のストレス、上司や同僚、友人、家族との人間関係で感じるストレスもあるでしょう。お金がなかったり、体の調子が悪かったりしてもストレスになりますし、まぶしかったり、うるさかったり、暑かったり、寒かったりするのもストレスです。
ストレスを感じると、私たちの体は胸がドキドキしたり、血圧が上がったり、変化が起こります。また、イライラした気分になったり、不安になったりもします。こうした変化は確かに不快なものですが、見方を変えれば、例えば胸がドキドキするのは、心臓が筋肉にたくさんの血を送って体を動かしやすくし、「不快さを解消するための行動」を起こしやすくしているとも考えられます。
このように、私たちはストレスを感じることで自分の持っている力を発揮し、ストレスになっている出来事や問題に対応していきます。そして、それらを解決することで達成感や満足感を感じ、自分自身が進歩・成長する機会にもなっているのです。
社会生活の中でストレスは避けられないものです。ストレスを感じるということは、社会の中で生活をしている証拠でもあると思います。ストレスを進歩・成長のチャンスと考え、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
ストレスと上手に付き合うコツを教えてください。
自分では解決が難しいストレスや強いストレスが長く続くと、心身の調子が悪くなり、自分の力を十分に発揮できなくなってしまう場合もあります。そうなると、ストレスに上手に対応することもできなくなります。
ストレスと上手に付き合うには、自分の周りにあるストレスがどのようなものか整理したり、ストレスの影響がどの程度出ているかをチェックしたりするのが役に立つと思います。現在、企業で行われているストレスチェック制度もそのための仕組みです。
自分一人では解決が難しいストレスがある場合は、周りの人の力を借りたり、専門家に相談したりするのも積極的な問題解決の方法です。心身に激しいストレスがかかっていると感じる時は、まず心身の調子を整え、本来の力を回復させることが問題解決の近道になることもあります。医療機関も上手に利用するといいでしょう。
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