2017年5月24日水曜日

帯状疱疹予防のワクチン


ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 院長

帯状疱疹とはどのような病気ですか。
 帯状疱疹は、主に子どもの頃に水痘(水ぼうそう)にかかった時に、脊髄の神経節に潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって引き起こされます。水ぶくれを伴う赤い発疹が、神経の分布領域に沿って体の左右どちらかに帯状に出ます。強い痛みを伴うことが多く、症状は3〜4週間ぐらい続きます。
 日本の成人の9割以上が体内にこのウイルスを持っていると考えられており、ほとんどの人が帯状疱疹になる可能性があるといえます。帯状疱疹は加齢や病気、疲労、ストレスなどで体の免疫力が低下した時に発症します。発症率は50歳代から高くなり、50歳以上の割合が全体の約7割を占めています。日本では、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています。
 皮膚症状が治った後も、何カ月も辛い痛みが残ってしまうケースもあります。これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、50歳以上の患者さんの約2割にみられる症状で、年齢が上がるほどなりやすくなります。その痛みは「焼けるような痛み」「刺されるような痛み」としばしば表現されます。また、まれに目や耳などに合併症が生じ、障害や後遺症を残す場合もあります。

帯状疱疹の予防法はありますか。
 帯状疱疹にならないためには、日ごろから体調管理を心掛け免疫力を低下させないことが大切ですが、予防のためのワクチンもあります。これは、小児が接種する水痘ワクチンに帯状疱疹の予防効果が認められたもので、帯状疱疹の予防目的で接種できるようになりました。対象は50歳以上で、過去に帯状疱疹になった人でも接種できます。海外のデータですが、このワクチンの接種により帯状疱疹の発症率が約半分に低下しました。また、痛みなどの症状が軽減される効果もみられ、帯状疱疹後神経痛が起きにくくなることも分かっています。ワクチン接種後は5年間の発症予防効果の持続が確認されています。
 他のワクチンとの接種間隔については、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの不活化ワクチンの接種後は6日以上、はしかや風疹などの生ワクチンの接種後は27日以上の間隔をあける必要があります。また、帯状疱疹予防のワクチンの接種後に他のワクチンを接種する場合は27日以上の間隔が必要です。詳しくは、医療機関にお問い合わせください。

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