2017年3月1日水曜日

うつ病


ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院  太田 健介 院長

うつ病について詳しく教えてください。
 うつ病とは、ある程度強い「うつ状態」が長く続き、日常生活に支障をきたす病気です。うつ病がなぜ起こるのかという、原因や発症メカニズムについては、まだ解明されていません。そのため、患者さんの症状をうかがい診断します。
 うつ病の診断基準として現在よく用いられているものに、米国精神医学会が作成した「精神障害の診断と統計のマニュアル第5版(DSM-5)」があります。うつ病はDSM-5の診断では「大うつ病性障害」と呼ばれ、その診断基準を短くまとめると、まず「抑うつ気分(悲しみや空虚感、絶望など)」「興味または喜びの喪失」のうち、少なくとも一つを認めること。そして、「食欲や体重変化」「睡眠障害」「精神運動焦燥(イライラや焦りなど)または制止(意欲や自発性を失うなど)」「疲労感や気力の減退」「無価値観や罪責感」「思考力や集中力の減退」「自殺念慮(死にたいという強い気持ち)や自殺企図(自殺未遂行動)」など全9項目の症状のうち、5つ以上が2週間以上、ほとんど1日中、毎日みられることです。
 うつ病は、さらに「メランコリー型」「非定型」「季節性」「精神病性」など幾つかのタイプに分けられ、症状や経過が異なります。

うつ病の診察について教えてください。
 うつ状態は、うつ病以外にも多くの病気で現れます。うつ状態を示す他の精神障害として「気分変調症」「躁うつ病」「統合失調症」「適応障害」などがあります。問診で症状を詳しく聞き、場合によっては別の病気が隠れていないか調べる検査をします。
 また、うつ状態は、心疾患や脳血管疾患、甲状腺機能低下症のような身体的な病気が原因で現れることもあります。アルコール、ステロイドやインターフェロン製剤など、薬物の副作用によるうつ状態も考えられます。一見、認知症かと思われる言動がうつ病の症状であったり、うつ状態が認知症の前駆症状であることもあります。患者さんの症状の原因をはっきりさせるために、身体的な検査が行われることもあります。
 うつ病かどうか、うつ病であればどのようなタイプなのか。正しい診断と治療を受けるには、精神科や心療内科で専門的な診察を受けることが大切です。

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