2016年6月15日水曜日
かかりつけ歯科医
ゲスト/医療法人社団アスクトース 石丸歯科診療所 近藤 誉一郎院長
「かかりつけ歯科医」を持つ意義は何ですか。
かかりつけ歯科医とは、従来からの治療の経緯を踏まえ、予防から治療、管理、メンテナンスまで幅広く対応してくれる歯医者さん、より専門的な検査や特殊な治療が必要な時、別の診療科など適切な医療機関を紹介してくれる歯医者さんを意味します。
毎回異なる歯科医に受診するのではなく、同じ歯科医を定期的に受診すれば、口の中の小さな変化にも気付いてもらえるので、虫歯や歯周病などの早期発見・治療が可能になります。また、患者さんの症状や治療の経過、生活背景、持病などを把握できるので、より的確な診療に結び付けられます。
近年の歯科医療では、口腔(こうくう)内を健康に保つための予防医療が重視され、患者さんと歯科医とがじっくりと時間をかけて話し合い、適切なケアや治療法を模索していくことが多くなりました。そういった点からも、長期にわたって患者さんに寄り添ってくれるかかりつけ歯科医を持つことが重要です。高齢化社会の進展に伴い、訪問歯科診療・口腔ケアのニーズも急速に高まっています。これまで以上に個人の経緯を踏まえた歯科医療の対応が必要となり、かかりつけ歯科医の果たす役割はますます大きくなっていくと思われます。
「かかりつけ歯科医」を選ぶポイントを教えてください。
かかりつけ歯科医に特別な資格はありません。患者さんと歯科医とのコミュニケーションの中から自然に生まれる信頼関係です。しばらく通院してみないと相性が良いと感じられるかどうかは分かりにくく、かかりつけ歯科医を探すというのは、そう簡単なことではないかもしれません。
ポイントとしては、近くにある“かかりやすさ”、患者さんからの質問に快く応じてくれるかなど“相談しやすさ”が挙げられます。周囲の評判なども参考にしながら、院内の雰囲気や先生の人柄を知るために、初めの数回は相談だけで通ってみるのも手です。治療方針や治療計画の説明をしっかりと聞き、今後、長年にわたって付き合っていけるのかをよく考え、納得した上で治療を受けることをお勧めします。歯科医と良好な関係を築くためには、患者さんも予約の時間には遅れないなど最低限のルールを守り、歯科医と一緒になって口腔内の健康を守っていこうという気持ち、意欲を持つことも大切です。
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