2016年4月13日水曜日
胆石症とはどのような病気ですか
ゲスト/札幌宮の沢脳神経外科病院 笹森 由美子 医師
胆石症とはどのような病気ですか。
食べ物を消化する仕組みの中で、重要な働きを担うのが「胆のう」です。肝臓で胆汁という消化液が作られ、胆管を通って十二指腸に分泌されますが、胆のうはその途中にある臓器です。食事の際、タイミングよく収縮してためていた胆汁を放出します。
「胆石症」とは、胆のうや胆管の中で胆汁の成分が固まり、石のようになる病気です。胆石症は、胆石のできる部位によりいくつかに分類されますが、ここでは、その約80%を占める「胆のう結石症」について説明します。
胆のう胆石の約70%は、胆汁に含まれるコレステロールが固まったものです。40歳以降の方、女性でお子さんの多い方、肥満の方、白人にできやすいといわれています。また、高脂血症や食生活習慣、急激なダイエット、胆のうや、腸の働きが低下していることも胆石ができる因子です。
典型的な症状は、胆石発作と呼ばれる腹痛です。食後、特に脂っこいものを食べた後に、みぞおちや右上腹部に痛みを生じます。我慢できないほどの強い痛みを生じる場合もあれば、違和感を感じる程度の軽い痛みのケースもあり、また、背中や右肩に痛みが拡散することもあります。
胆石症の診断と治療について教えてください。
胆石症の診断には、まず血液検査や腹部X線写真、腹部エコー検査などを行います。腹部エコー検査は簡単で、体への負担も少なく有用な検査です。このあと、腹部CTやMRIなどの検査で、さらに詳しく調べていきます。
治療については今年改訂された日本消化器病学会の胆石症診療ガイドラインが参考になります。ガイドラインでは胆石症のさまざまな病態について、根拠に基づいた治療法が書かれています。症状のない胆石は治療を行わず、年に1回の腹部エコー検査などによる経過観察を行うことが勧められます。経過観察を行うのは肝機能障害や胆のう癌(がん)発生の可能性を考えてのことです。症状が無くても胆のう壁が厚くなっている場合や壁の様子がよく観察できない場合、また何らかの症状のある場合には手術が勧められます。手術は腹腔(ふくくう)鏡下胆のう摘出術が第一選択です。体への負担が少ない、術後の傷が目立たない、入院期間も短いので早期の社会復帰が可能などの利点があります。手術を希望しない場合、胆のうの機能が正常であることなどいくつかの条件を満たせば胆石を溶かす薬を飲んだり、体外からの衝撃波で胆石を小さく砕いて取り除いたりする治療を行うこともあります。
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