2016年1月13日水曜日

ノロウイルス感染症とその予防


ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

ノロウイルスによる感染症について教えてください。
 激しい下痢や嘔吐(おうと)の症状を引き起こすノロウイルスによる胃腸炎は、11月〜2月頃にかけて流行します。ノロウイルスは、わずかなウイルスの量でも体内に侵入すると腸内で爆発的に増殖します。そのため、体内にノロウイルスを侵入させないことが最も有効な予防法になります。
 ノロウイルスに感染する原因として特に注意しなければならないのは、ノロウイルスに感染している患者さんの下痢便や吐しゃ物に触れ、気付かないうちに感染してしまうケースです。これを二次感染といいます。下痢便や吐しゃ物には大量のノロウイルスが含まれているため、ノロウイルス感染患者さん、または感染が疑われる方の介助の際や、利用した後のトイレやお風呂などを使う際には注意が必要です。

ノロウイルスの感染予防で特に気を付ける点は何ですか。
 最も注意したい場所はトイレです。ノロウイルス感染患者さんが下痢や嘔吐をした時、これらの汚物の飛沫(ひまつ)が舞い上がり、便器や周囲の壁などに付着します。また、患者さんの手や指にも付着し、便座やドアノブ、水道の蛇口などに触れることで汚染範囲は拡大します。ノロウイルスは少量の飛沫でも非常に強い感染力があるからです。また、トイレの周囲に付着したノロウイルスは、乾燥した寒い時期であれば、約1カ月は不活化(感染性を失うこと)しないといわれています。駅や商業施設などのトイレは不特定多数の方が利用するので、ノロウイルスに汚染されているリスクがあります。利用する際は、丁寧に手を洗うことを習慣にしてください。
 ノロウイルスの感染予防には、汚染を広げないように家族の健康管理も重要です。家族に下痢、発熱、嘔吐などノロウイルスが疑われる症状がある場合には、手洗いの徹底、ドアノブや便座、台所などの消毒のほか、二次感染を防ぐためにタオルの共用などを避け、吐しゃ物の処理は使い捨ての手袋などを使い迅速にするようにしましょう。ノロウイルスによる食中毒では、多くの事例で感染していた調理従事者が汚染原因となっています。症状がある時は、調理行為を避けてください。
 2015年〜16年の冬期間は、新型のノロウイルスの感染が世界的に流行することが危惧されていますので、予防と対策をしっかりと知っておくことが大切です。

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