2015年10月28日水曜日

C型肝炎


ゲスト/福住内科クリニック 佐藤 康裕 副院長

C型肝炎とはどのような病気ですか。
 C型肝炎ウイルスの感染によって肝臓が障害される病気です。血液を介して感染しますが、自覚症状は少なく、気が付かないうちに持続感染し病気が進行します。70%が慢性肝炎となり、20〜30年後に肝硬変へ進展し、肝がんを発症する人もいます。肝がんは日本のがん死亡数第4位で毎年約3万人が亡くなりますが、その70%はC型肝炎が原因となっています。
 C型肝炎ウイルスが発見され、献血の際に感染対策が取られたのは1990年代の初めからでした。このため、これ以前に輸血や血液製剤の投与を受けた人は感染の可能性があります。また、消毒が不十分な器具を用いた入れ墨や薬物乱用にも感染の危険があります。日本における感染者数は約200万人と推測されていますが、症状がなく、感染の機会がないと思っているために検査を受けていない感染者もたくさんいます。札幌市では肝炎ウイルス検査を実施しており、当院を含めた指定医療機関において無料で検査を受けることができます。

治療法について教えて下さい。
 昨年以降C型肝炎に対する新たな治療薬が次々と発売され、治療戦略が大きく変わろうとしています。C型肝炎ウイルスを排除するための治療は、これまでインターフェロンが中心でした。インターフェロンは体内の免疫力を高めてウイルスの活動を鎮静化させる注射剤です。しかし、発熱や倦怠感などの副作用が多く、途中で治療を断念する患者さんもいました。
 これに対して新薬はインターフェロンを使わず飲み薬のみで治療が可能であり、副作用は大きく軽減されます。これらの新薬は、ウイルスを増殖させる酵素の働きを抑える薬で、すでに数種類発売されており、さらに今後も発売が予定されています。治療効果についても、臨床試験では極めて高い治療成績が示され、日本の患者さんの7割を占める1型に対する第一選択薬では、12週間の治療で100%近いウイルス消失が期待できます。短い治療期間で効果が高く副作用も軽微ですが、極めて高価なことが欠点です。しかし申請により医療助成が受けられ、患者さんの負担は軽減されます。
 このようなC型肝炎治療の飛躍的な進歩は、肝がん撲滅に向けた大きな一歩になると期待されています。

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