2014年10月15日水曜日
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の薬物療法
ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長
COPDとはどのような病気ですか。
COPDは、日本語で「慢性閉塞性肺疾患」と訳されます。以前は肺気腫や慢性気管支炎などと呼ばれ、細い気道(気管支)や肺胞などが障がいをうけ、長期にわたって気管支が細くなる病気の総称です。主な症状は、長引く咳(せき)や痰(たん)、労作時の息切れなどで、徐々に呼吸機能が低下していきます。重症化すると呼吸困難を起こし、日常生活に支障を来たすだけでなく、肺炎や心不全などの合併症で命とりになる場合があります。長期間にわたる喫煙習慣が主な原因であることから、COPDは「肺の生活習慣病」とも呼ばれ、近年、社会的にも大きな注目を集めています。
現時点でCOPDを根本的に治し、肺を元の状態に戻す治療法はありません。呼吸機能を改善し、咳,痰,息切れなどの症状を緩和し患者さんの生活の質を高めることが治療の目的となります。症状の軽重にかかわらず、治療の基本は禁煙です。喫煙を続ける限り、病気の進行を止めることはできません。まずは、きっぱりとたばこをやめることが重要です。そして、薬物療法により症状を改善しながら、呼吸機能の維持・増進を図っていきます。
COPDの薬物療法について教えてください。
COPDの治療に用いられる代表的な薬は、狭くなった気管支を広げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」です。霧状または粉末状の薬と息を一緒に吸い込み、気管支や肺に直接薬を届けられる吸入薬が主に用いられます。
気管支拡張薬には、長時間作用性抗コリン剤(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)などありますが、近年、強力な気管支拡張作用をもつ新薬が続々と登場し数年前と治療は大きく様変わりしています。LAMAでは以前からあったチオトロピウムに加えグリコピロニウムが、LABAではインダカテロール、ホルモテロールが新たに登場し、従来の薬に比べて、即効性や持続性に優れるなど、増悪の抑制や生活の質の改善に大いに期待が持てます。効果の異なるLAMAとLABAを一つにまとめた合成剤も登場し、その有効性が確認されています。ただし、現時点では合剤は処方期間が2週間までと制限があります。
COPDは軽症例から重症例までは薬物治療が可能ですが、超重症例になると薬の効果が不十分となります。そのため、早い段階で病気に気付き、適切な治療を開始することが大切です。
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