2014年6月18日水曜日
機能性ディスペプシア
ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長
機能性ディスペプシアとはどのような病気ですか。
機能性ディスペプシアとは、慢性的に胃もたれ、食後の膨満感、みぞおちの痛みなど、みぞおちを中心とするおなかの症状が続いているにもかかわらず、血液検査、内視鏡検査などを行っても全身性、代謝性疾患ならびに逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患が見当たらない病気です。
生命に関わる病気ではありませんが、つらい症状により、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまいます。日本人の4人に1人は機能性ディスペプシアを持っているという調査結果もあり、決して珍しくはない誰もが罹患(りかん)する可能性のある病気です。
ストレス・過労などの心理的・社会的要因、胃の中に食べ物を蓄えようとする貯留機能や胃の内容物を十二指腸へ送り出す排出機能の障害、胃が刺激に対して痛みを感じやすくなっている状態(知覚過敏)、ピロリ菌の感染などが原因で症状が起こると考えられています。
主な症状は「つらいと感じる食後のもたれ感」「食事を開始してすぐに食べ物で胃がいっぱいになり、それ以上食べられなくなる感じ」「みぞおちの痛み」「みぞおちの焼ける感じ」の四つです。
機能性ディスペプシアの診断と治療について教えてください。
診断は、問診により患者さんの生活背景、性格、過去の症状などを診ながら、
内視鏡検査により食道、胃・十二指腸に症状の原因となる器質的疾患がないことを確認して判断されることが一般的です。
治療は、まずストレスや過労などの原因となっている生活習慣を改める指導が行われます。この病気は心理的・社会的要因が関与するため、生活習慣や食習慣を整えることが必要です。十分な睡眠を取り、適度な運動などでストレスを発散し、規則正しい食生活を心掛けてもらいます。薬物療法としては、患者さんの症状に応じて酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬などが処方されます。それらの薬を服用して効果がなければ、抗不安薬や抗うつ薬、あるいは漢方薬などを併用するケースもあります。
機能性ディスペプシアの診断や治療は、主治医が患者さんの症状をきちんと把握することから始まります。病院・診療所を受診した際は、自覚症状を主治医にできるだけ詳しく伝えましょう。また、気になることは遠慮せずに相談し、根気よく治療に取り組むことが大切です。
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