2014年1月8日水曜日
視力検査で分かること
ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 院長
視力検査について教えてください。
眼科では、さまざまな治療の折に視力検査を勧めます。視力に不安がないと断る人もいますが、視力検査からはいろいろなことが分かります。単に「視力」といっても裸眼の視力だけではなく、近視、遠視、乱視などの屈折異常や、矯正レンズを当てた状態で良好な視力を得られるかどうかの検査まで行います。
例えば、小学生のお子さんの視力が0.8程度である場合、「授業に支障がなければ問題ない」と考える親御さんも多いかもしれません。しかし、強い遠視があるケースでは矯正レンズを当てても良好な視力を得られないことがあります。これは「弱視」という病気です。早期に弱視を発見し、適切な治療を受ければ視力回復につながりますが、小学校高学年以降になると治療は難しくなります。成人後も、日常生活や運転免許の取得に支障を来すこともあります。
「見えづらい」原因が、近視・遠視のどちらによるものかを区別するのは難しく、学校の視力検査で不良を指摘されたら眼科での詳しい検査が必要です。
視力検査では、他にどんな病気が見つかりますか。
成人の場合、高血圧の人に発生する網膜静脈閉塞(へいそく)症や、糖尿病網膜症などの、起こる部位によっては視力障害が出ます。
ご年配の方の場合、白内障による視力低下と思い込んでいたのが、実は加齢黄斑変性症という別の病気による場合も少なくありません。普段両目で見ていると片目に異常があってもなかなか気付きにくいものです。眼科で片目ずつ視力を測定して初めて見つかるケースも多いです。
強度近視の場合は、網膜が平均より薄く、網膜剥離(はくり)などの重大な病気を引き起こす可能性が高くなります。一定以上の近視と判明したら眼底の精密検査をお勧めします。
中高年以降で、急に手元が見やすくなってきた場合には、白内障が始まり、水晶体の中心部が固くなって近視化を起こしている可能性があります。さらに白内障が進行すれば矯正視力も低下してきますが、裸眼視力の検査だけでは視力低下の原因をはっきりと判断できません。
視力検査が、目に隠れているさまざまな病気の早期発見につながるケースは珍しくありません。特別な症状がなくても、定期的に眼科を受診するようにしましょう。
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