2013年7月17日水曜日

関節リウマチの診断[関節エコー(超音波)検査]


ゲスト/北海道内科リウマチ科病院 深江 淳  医師

関節リウマチの診断について教えてください。
 関節リウマチは免疫の働きに異常が起き、関節をくるむ滑膜(かつまく)に炎症を発する病気です。進行すると骨の表面が削られたようになる「びらん」が起き、関節が破壊され、日常生活に支障を来すようになります。
 関節リウマチの診断は、関節の腫れや痛みを調べたり、血液検査やエックス線を併用したりして行われてきましたが、エックス線では炎症の状態をリアルタイムに確認できない場合が多く、患者さんが腫れや痛みを訴えても、炎症の程度の判断は医師によって分かれることもありました。
 関節リウマチの治療は、免疫を制御する抗リウマチ薬に加え、新しい治療薬である生物学的製剤の普及で飛躍的に向上し、早期診断・治療の重要性が一層増しています。これらを実現するためには、炎症をできるだけ正確に、客観的に評価し、治療開始の必要性を判断したり、治療効果を判定したりする必要があります。こうした背景で注目されているのが、関節エコー(超音波)検査です。

関節エコーとはどのような検査ですか。
 日本リウマチ学会が検査法の標準化に乗り出し、近年、急速に普及が進んでいる検査です。調べたい関節にエコーの器具を当て、画像で炎症や血流の状態を調べます。
 関節エコーの利点は、検査が簡便な上、従来の検査では検出が難しかった、診断上の有用な情報をリアルタイムで確認できることです。炎症が強いほど増える血流の程度を細かく把握できるので、炎症の小さな変化も逃さず捉えることができます。診断だけでなく、薬の効果が出ているかなど治療経過を見るのにも生かせます。
 エックス線のように放射線による被ばくの心配がなく、滑膜の炎症を評価する上で有効なMRI(磁気共鳴画像装置)と比べ費用が割安で、患者さんの負担が少ない検査といえます。また、炎症を起こしている部位が、画像に赤く映し出されるので、患者さんは自分の炎症の状態をイメージしやすく、病状の理解にも役立ちます。
 治療の進歩により、関節リウマチは症状が落ち着き進行しない「寛解」を目指すことも可能になりました。病状を上手にコントロールするために重要なのは、一日でも早く治療を始めることです。気になる症状があれば、すぐに専門医の診察を受けましょう。

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