2012年10月3日水曜日

ドライアイ


ゲスト/札幌エルプラザ 阿部眼科 阿部 法夫 院長

BUT短縮型ドライアイについて教えてください。
 目の表面の涙は、主涙腺で作られる液層と、マイボーム腺などで作られる油層の2層構造からなっています。液層の分泌減少や油層の減少は、蒸発亢進(こうしん)をまねき、量的減少を伴うドライアイの原因となります。このほかに、質的悪化が原因となるドライアイがあります。これが、BUT短縮型ドライアイです。
 BUT(Breakup Time)とは涙液層破壊時間のことで、まばたきをしないで涙の膜が破壊されるまでの時間のことです。これは涙が水滴化しないで、薄い涙の膜を作るために重要なムチンが関係しているといわれています。このタイプのドライアイは、まばたき直後から涙の膜の中に数個のダークスポット(黒い筋)が現れ、強い乾燥感、痛みを訴え、目を開けていられなくなります。しかし、涙の量に問題がなく、角膜の乾燥による傷もないので、見逃されやすい症状です。パソコンワーカーや、コンタクトレンズ使用者、比較的若い年齢層に多いといわれています。ドライアイは秋から冬にかけて悪化の傾向があり、これからの季節、特に注意が必要な疾患です。
 ドライアイには乾燥だけではなく、視機能の異常、眼精疲労などの多彩な症状を伴います。また、涙には目の乾燥予防だけではなく、角膜への酸素や栄養の供給、角膜表面との摩擦や感染の防止、ゴミやほこりの洗浄など、多彩な働きがあるのです。

各種ドライアイの原因と治療法を教えてください。
 長時間のパソコン使用やエアコンや暖房の使用、コンタクトレンズの装用は、ドライアイの原因となる可能性があります。量的減少を伴うドライアイには、従来からの点眼薬として、水分補給のための人工涙液と、保水、角膜の傷の修復のため、ヒアルロン酸が使われています。点眼薬で効果が十分ではない場合は、涙点プラグという、涙の流出口である涙点を閉鎖する治療を行います。質的悪化が原因となるBUT短縮型ドライアイには、ジクアホソルナトリウム、レバミピドの入った点眼液が使われています。刺激感がやや強い難点はありますが、6週間程度我慢していると改善が見られるケースも多く見られます。自己判断で市販薬で治療されている方も多いのですが、アレルギーを合併しているケースや、シェーグレン症候群、糖尿病など全身疾患に伴うもの、向精神薬・抗ヒスタミン薬などの薬剤による、涙腺神経ブロック作用など、原因はさまざまです。また、瞼が閉じられない顔面神経麻痺、夜間兎眼(とがん)など、眼科での鑑別や精密検査を必要とする場合もあります。気になる方は一度眼科の受診をお勧めします。

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