2012年6月13日水曜日

人間関係のストレス


ゲスト/医療法人社団五稜会病院 千丈 雅徳 院長


人間関係のストレスと、その対処法について教えてください。
 人は一人では生きていけませんが、人間関係がこじれると大変な苦痛を伴います。同じように、人間は適度なストレスを必要としますが、過大な人間関係のもつれによるストレスを背負い込むと、深刻な事態を招き、抑うつ状態や身体疾患に発展することもあります。心の問題は、適度さを求めれば求めるほど手に入らなくなります。「普通」という物差しが分からなくなります。本当に厄介ですね。
 例えば、親子、兄弟姉妹、夫婦、義理の親子など身近な人間関係では、直球で感情をぶつけすぎて傷つけ合ったり、それとは全く逆に、本音を明かせずに不満を抱えてしまうことがあります。職場、取引先など、苦手で相性が合わなくても、毎日接しなければならない場合は強いストレスを伴いますね。また、ご近所の人たちとは、お互いに良い雰囲気の関係を保たなければなりません。さらに、PTAや保護者会など、子どもを介した人間関係では、子どもの保護者である親としての管理責任が問われ、緊張感を伴います。
 こんな大変な人間関係の中で生き抜いていく私たちにとって、ストレスをためこまないで、「普通」に日常生活を送ることはできるのでしょうか?
 決定的な方法はないでしょうが、いくつかの予防法はあります。
 まず、普段の生活圏を離れて自然の中で森林浴をするなど、心身をリフレッシュして普段の状態を取り戻すことができます。
 また、一人で悩んでいると不安の種はどんどん膨らむので、誰かに事情を話すことでストレスを軽減させることができます。
 さらに、目の前のことだけに集中したり、気掛かりなことは紙に書いて頭に残さないようにしたりして、ストレスがたまらないうちに解決することも可能です。
 質の良い眠りはストレスから心身を守ります。お好みの音楽を聴くことでも緊張を和らげてリラックス感が得られます。ペットを飼うことで、一人暮らしの寂しさを癒やしたり、リラックス感を得ている方も多くいらっしゃいます。
 ストレスに負けない心を作るには、自分と向き合うことが大切です。今の問題点を冷静に洗い出して整理してみたり、プラス思考を心掛けてネガティブなことを言わないようにしたり、心地よい自分を繰り返しイメージするといった方法も効果的です。
 ストレスには、十分な休息が必要です。「怠けている」と思わず「私が今すべきことは休むこと」と割り切って、気持ちを楽にして何もしない時間をつくるように心掛けましょう。
 いろいろ工夫しても対応しきれなくて、気分の大きな落ち込みを伴ってしまっている場合には心療内科や精神科を受診してみるのも良いでしょう。

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