2011年3月16日水曜日

「関節リウマチ治療の現在」

ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 院長

関節リウマチ治療の新しい展開について教えてください。
 近年、関節リウマチをめぐる新しい動きが活発になっています。その大きな理由は、治療法の急速な進歩にあります。生物学的製剤と呼ばれる強力な薬が登場し、臨床の場で数々の成果を上げています。早期に治療することで、関節の破壊など不可逆的な進行が抑えられ、寛解(病気が治まった状態)の維持も可能なことが多くの研究で証明されています。また、早期に治療を開始した患者さんの中には寛解に至った後、治療を中止してもリウマチが再燃しない状態になる方もいます。このような治療の進歩に伴って、早期発見・早期治療の重要性が叫ばれるようになってきました。
 2009年欧米で、関節リウマチの新たな分類/診断基準が発表されました。その最大の特徴は、早期診断を可能にしていることです。従来の基準は、経過の長い典型的なリウマチ患者さんを対象として作成されたもので、早期のリウマチを診断するという点ではあまり適していませんでした。新基準は、早期に抗リウマチ薬による治療開始が必要な患者さんを識別することを意図したもので、早期診断には極めて有効だと考えられます。
 
早期診断のための画像検査について教えてください。
 関節リウマチにおける画像診断の中心はX線とMRIによるものでしたが、近年はこれらの手法で判断できない炎症や血流の状態などをリアルタイムに、そして時系列的に診断可能な「関節超音波(エコー)検査」が必要不可欠な検査となりつつあります。怪しいと思われる関節に、聴診器のように関節エコーのプローブ(超音波を放出する部分)を当てると、炎症を起こしている箇所が、まるでメラメラと燃えているかのように画面に赤く映し出されます。関節エコー検査は、必要な時に必要な関節を気軽に診療室で検査できるという利点のほかに、この燃えているかのような炎症の画像を患者さんに見てもらうことで、本人に事の重大性を理解してもらい、リウマチを鎮めていこうという強い気持ちに導くことができるというメリットもあります。
 繰り返しになりますが、医療の急速な進歩により、関節リウマチは早期に診断して早期に治療を開始すれば、治癒可能な疾患となってきています。関節がおかしい、いつまでも治らないと思ったら、まずは一度専門医にご相談ください。

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