2010年12月1日水曜日

「皮膚がん」

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

皮膚がんとはどのような病気ですか。
 皮膚がんは、どの組織の細胞から、がんが発生したかで分類され、さまざまな種類があります。数多くの皮膚がんは、皮膚の表皮から発生するがんと、ホクロから発生するがんの二つに大きく分けられます。前者は一般に顔や手の甲など日光によくさらされるところに出やすいのが特徴です。このことが日光、特にその中に含まれる紫外線が主な原因であることを端的に物語っています。後者のホクロのがんは非常に悪性の度合いが高く、比較的初期の段階から転移する可能性が高いので注意が必要です。身体のあらゆる部分から発生しますが、最も多いのが足のうらです。
 皮膚がんは他のがんと比べて、皮膚の変化が目で見てすぐ分かるため、原則的には早期発見しやすく適切な治療が可能です。しかし、いつまでも治らないキズや湿疹(しっしん)だと思って放置してしまい、発見が遅れると根治治療が難しくなる場合もあります。
 高齢になりますと、さまざまな皮膚のできものができやすくなります。多くのものは良性ですが、中には悪性のものもあります。一般の人が直接見て判断するのは難しいと思われますので、突然できて治りにくいできものやジュクジュクしているもの、盛り上がってきたもの、腐ったようなにおいを発しているものであるならば、まず専門医に相談するのがよいと思います。

皮膚がんの治療や予防について教えてください。
 さまざまな見た目をとり、種類も多い皮膚がんの診断は、見る診察が基本であり、重要です。できものの一部を採取して病理組織検査を行う場合もあります。皮膚がんの治療で最も一般的な方法は、患部の外科的切除です。できものの性質、大きさ、部位などを総合的に考慮して行われます。がんが小さいうちに発見できれば、それだけ傷は小さく目立たなくなります。
 予防という観点からは、過度に日光、紫外線を浴び過ぎないということです。これは年を取ってからばかりではなく、子どものころから心掛ける必要があります。紫外線の浴び過ぎは、皮膚がんの頻度を増加させることに加え、皮膚の老化も促進します。
 多くの皮膚がんに痛みやかゆみなどの自覚症状が見られないことから、気が付かなかったり放置したりしてしまう傾向があります。毎日見ている自分や家族の皮膚に、日ごろ目にしない変化を認めたら、迷わず専門医を受診することが何より大切な心構えです。

人気の投稿

このブログを検索