2010年4月14日水曜日

「矯正治療のタイミング」

ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 歯科医師
矯正を始めるタイミングについて教えてください。
 最近は、歯並びに対する意識が高まり、3〜4歳児を連れて来院する方も増えています。しかし、乳歯の段階では極端な受け口のようなはっきりとした咬合(こうごう)異常でない限り、治療を急ぐ必要はありません。仮に早くに治療をスタートさせたとしても、3、4歳で装置を受け入れてくれるかは疑問です。矯正治療は、一般的に永久歯が生え始める7歳前後がスタート時期になります。ただ、最近みられるのが、乳歯の段階でのデコボコした乱ぐい歯(叢生・そうせい)です。本来、乳歯は一本一本の間に空間のある「すきっ歯」が正常な状態です。ぴったり並んだ、一見「歯並びが良い」状態では、永久歯に生え変わった時に乱ぐい歯になる可能性があります。まして、乳歯の段階で乱ぐい歯では、あごが極端に小さく、永久歯が正常な歯並びになるのは難しいと思われます。子どもの口の中を見てこのような感じでしたら、一度矯正専門医に診察してもらうといいでしょう。すぐに治療を始めなくても、適切な治療開始時期についてアドバイスしてもらえるでしょう。

就学時はどのような点に注意すればいいですか。
 乱ぐい歯(叢生)、出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)を中心とした基本的な歯並び、噛(か)み合わせの状態を見ます。反対咬合はもともとの骨格が影響している場合が多く、成長とともに悪化するためあごの成長を抑える必要があり、長い場合は成長のピークが過ぎる時期までの継続的な矯正治療が必要となります。逆に上顎前突は成長を利用します。いずれの場合も早期からの治療によって、より美しく自然な噛み合わせになる可能性が高いです。
 中学生では、基本的に大人に準じた治療となりますが、まだ成長期なので子どもと同じ治療ができる可能性もあります。思春期なので矯正装置を嫌がる場合も多いのですが、最近は歯の裏側から治療することもできるので、矯正を受ける人も多くなってきました。
 極端に下顎が突出していたり逆に引っ込んでいるなど、外科治療が必要な場合は、成長のピークが過ぎた高校生以降の治療になります。
 いずれにしても、時期によって的確な治療法があります。また、いくつになっても「もう遅い」ということはありません。

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