2010年2月3日水曜日

「リウマチ治療の今」について

ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 医師

リウマチについて教えてください。
 自己免疫疾患である膠原(こうげん)病の一つが関節リウマチです。40代をピークとして20~60代の女性に多く発症します。初期症状としては手のこわばり、関節痛などが代表的で、特に起床時の痛み、こわばりが何日も続くようなら、関節リウマチの可能性があります。専門医を受診した場合は、まず問診で症状の経過と現在の状態を確認します。続いて、関節の痛みや腫れ、熱感、屈曲など患部診察を行い、採血やレントゲン写真、超音波診断(関節エコー)やMRI(磁気共鳴画像装置)などで総合的に診断します。リウマチも他の疾病と同様に、早期に発見し、治療を開始することが、その後の症状改善に役立ちます。

治療と日常生活の注意点について教えてください。
 関節リウマチの場合は、患者さん本人によく理解してもらうことが重要です。悪化したきっかけとして思い当たることを聞くと、正月や法事などで多忙だったり、床掃除、除雪、引越しなどの家事労働、また運動や旅行、看病など、何気ない日常生活が挙げられました。過度の家事労働やストレスをためないことも大切です。そのほか、低気圧の接近や雨天、肥満など天候や健康状態による症状の悪化もあります。
初期治療としては、関節破壊を予防するために、抗リウマチ薬を処方します。さらに、消炎鎮痛剤、少量のステロイドも考慮します。同時に理学療法、作業療法を用いたリハビリテーションを進めます。このような治療を3カ月以上行っても、痛みや腫れが持続し、炎症反応が見られる場合は、次の段階として、抗リウマチ薬のメトトレキサート製剤による治療を行います。それでも十分に効果が得られないようであれば、生物学的製剤による治療を行います。生物学的製剤は近年導入された新薬で、リウマチ治療に大きな効果をあげています。薬の種類・タイプも増え、選択肢が広がっています。ただし、感染症にかかりやすくなる、高価であるなどの問題点もあります。リウマチは完治の難しい病気ですが、治療薬も日々進歩しています。あきらめずに上手に付き合っていくという心構えを持つことが肝心です。

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