2009年6月10日水曜日

「過活動膀胱(ぼうこう)」について

ゲスト/ベテル泌尿器科クリニック 三熊 直人 医師

トイレが近くて困るという悩みをよく聞きますが。

 我慢できないほどの尿意を突然感じる。家事や仕事、電話中に突然トイレに行きたくなる。夜何度もトイレに起きて睡眠が十分でない。トイレが気になって長時間の外出や旅行へ行けないなど、「トイレが近い」「我慢できないほどの切迫感がある」ことで日常生活に支障が出る。このような症状を過活動膀胱といいます。
 日本人では、40代以上の男女8人に1人の割合で過活動膀胱が見られるといわれています。加齢に伴って増加する傾向にあり、「年のせいだから」とあきらめがちですが、治療は可能です。
 原因として多いのは、脳卒中の後遺症などで、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路に障害が起きた場合。そして、出産や加齢によって子宮や膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなった場合です。男性では前立腺肥大に伴う過活動膀胱が多く見られます。

治療方法について教えてください。

 過活動膀胱の一番大きな問題は、切迫した尿意が起こりやすく、尿意をコントロールできなくなることです。治療としては、抗コリン剤の投与が有効です。投薬以外では、尿意を感じても少しの間我慢をして膀胱を訓練する行動療法、尿道を締める力を鍛える骨盤底筋体操などを併用します。
 前立腺肥大症による男性の過活動膀胱では、薬でもある程度は抑えられますが、外科的治療が必要となることも少なくありません。手術は痛みや出血、入院期間が心配でなかなか決心できないという人も多いでしょう。しかし、最新の前立腺肥大症手術であるHoLEP(ホーレップ)では、ホルミウムレーザーを用いることで出血が少なく、術後の痛みも軽く、尿道内カテーテルの留置時間も1〜2日と短く済みます。入院期間は1週間程度です。
 いずれにしても、トイレが近い悩みは日常生活に支障を来たすものです。過活動膀胱は治療できる病気ですから、ぜひ泌尿器科を受診して相談することをお勧めします。

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