2004年8月4日水曜日

「乾癬(かんせん)」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師

乾癬について教えてください。

 難病の一つといわれる乾癬とは、皮膚の入れ替わりが早くなる疾患で、結果として赤く盛り上がった皮疹(ひしん)ができます。皮疹は表面がカサカサで、主にひじやひざ、髪の毛の生え際、腰など、外部からの刺激が当たる部分にできやすく、つめが侵されることもあります。日本では、1000人中2~3人の割合で発病しているといわれ、決して珍しい病気ではありません。残念ながら原因はわかっていませんが、遺伝子的因子と環境因子の両方が発症に関係しているのではと考えられています。日焼け、薬剤、感染、精神的なストレスなどで症状が悪化することがあります。

具体的な治療法を教えてください。

 外用療法として、軽症の場合はステロイド軟こうやビタミンD3軟こうで治療します。重症の場合は、ビタミンA誘導体や、免疫抑制剤などを投薬します。紫外線療法としては、PUVA療法とUVB療法があります。PUVA療法はソラレンという薬剤を外用または内服し、それから長波紫外線(UVA)を照射して、皮膚に反応をおこさせ治療する方法です。週に1~3度定期的に繰り返す必要があります。UVB療法は中波紫外線(UVB)を照射する方法で、PUVA療法のような前処置はありません。しかしUVBには日焼けを起こす紫外線が含まれているため、大量には照射できず、効果はPUVA療法に劣ります。最近は、日焼けを起こす部分をカットし、効果のある波長だけを照射するナローバンドUVB療法が注目されています。ソラレンなどの紫外線吸収剤の内服が必要なく、遮光など生活上の制限も必要ありません。また、副作用も少なく短時間で終了します。皮膚深部への到達性の高いUVAで構成されたPUVAと短い波長で構成されたナローバンドUVBの2種類を、症状に合わせて治療する方法も効果的です。紫外線療法は乾癬のほかに、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、尋常性白斑(はくはん)、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などにも有効といわれています。乾癬の特徴は、良くなったり悪くなったりを繰り返すことです。治療によって良い状態にして、悪化しないようにコントロールすることが大切です。

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