2002年10月2日水曜日

「加齢性黄斑変性」について

ゲスト/誠心眼科病院 加藤成美 医師

加齢性黄斑変性とは、どんな病気でしょうか。

 網膜の中心部にある黄斑部に異常が生じる病気で、この部分は物を見るのに重要な役割を果たしているため、症状が進むと失明にもつながります。アメリカでは中途失明原因の1位になっています。近年日本でも急激に患者数が増え、「加齢性」の名が付くように、50歳代から発症率が高くなります。最初は、物を見ようとしたとき、中心部分がぼやけて見えるようになって気が付く場合が多く、黒ずんで見える(中心暗点)、物がゆがんで見える(変視症)などの症状が現れます。さらに病状が進むと眼底出血が起こり、著しい視力の低下や失明に至る場合もあります。加齢によるものなので、どんな人に多く発症するとはいえませんが、喫煙、高血圧、動脈硬化症は危険因子と考えられています。

どのような治療法や、予防法がありますか。

 タイプとしては、黄斑部の中心窩(か)が萎縮(いしゅく)して変性する非滲出(しんしゅつ)型と、網膜の外側の脈絡膜から新生血管が発生し、網膜に侵入する、滲出型があります。予後が悪いのは滲出型で、もろい新生血管が破れて出血したり、血液中の成分が漏れるなどして黄斑部が隆起し、視力障害が起こります。いずれにしても、元通りに治すことはできません。非滲出型は進行が遅く、血管拡張剤などで治療します。滲出型の場合は、螢光(けいこう)眼底造影検査などで詳しく新生血管の位置を調べ、治療法を決定します。新生血管の位置によって、止血剤、血管強化剤などの投薬、新生血管をレーザーで焼く光凝固、外科手術による新生血管膜除去術などの治療を行います。加齢性黄斑変性は、はっきりとした発症原因がわからないため、有効な予防法はありません。50歳代になったら、人間ドックで眼底検査を受ける、格子縞(じま)や時計、新聞の文字などを片目ずつ見て、ゆがみが無いかチェックするなど、早期発見に努めることが肝心です。片目に発症した人は、もう片方に発症する危険が高いので、定期的に眼底検査を受けてください。

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