2002年9月25日水曜日

「在宅医療」について

ゲスト/斎藤内科医院 平澤路生 医師

在宅医療について教えてください。

 病気で寝たきりになったり、通院することが困難になった患者さんを対象に、医師が出向いて診療を行う「訪問診療」が、在宅医療の中心になります。「往診」は患者側の求めに応じて、患者宅を訪問し診察・治療しますが、訪問診療の場合、病気に合わせて計画的に出向いて治療します。この点で、通院と同様の医療が行えます。在宅で行えない検査が必要な場合や、状態が急変し入院が必要な場合は、提携関係にある設備の整った適切な病院を紹介します。医療機器や医療技術の進歩で、高カロリー輸液、酸素吸入や人工呼吸器など、かつて入院しなければ使用できなかったことが在宅で可能になってきています。医療の水準を極力落とさず、住み慣れた環境で心穏やかに療養してもらうのが、在宅医療の目的です。

家で過ごすということに大きな意味があるのですね。

 クオリティ・オブ・ライフ(人生の質)について考えた場合、病院で寝たきりの状態で少しでも延命するのか、自分の家で家族とともに意義のある人生を過ごすのか、ということは大きな問題になります。持病のあるお年寄りや難病の方、末期ガンの方など、さまざまな病状の多くの方が、長期の入院よりは、家族とともに在宅で医療を受けることを希望しています。人手や施設の面で見劣りする在宅は、入院生活よりリスクを負うことになりますが、それも納得した上で「家に帰りたい」という気持ちがかなえられれば、それは医学では説明のつかない「生きる力」につながる例が認められます。医療保険制度が変わり、長期の入院も難しい状況です。介護保険制度ができて、ホームヘルパーや訪問看護、在宅リハビリテーションなど在宅を支援する制度が整えられてきています。それらをうまく利用することも大切です。在宅医療を希望する人は、まず訪問診療を実施している医院に相談してください。納得し、信頼できる医療機関を見つけることが、在宅医療実現への第一歩です。

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