2002年9月11日水曜日

「過敏性腸症候群」について

ゲスト/医療法人社団土田病院 土田茂 医師

過敏性腸症候群とは、どんな病気でしょうか。

 腹痛、膨満感、腹部不快感を伴う下痢や便秘、下痢 と便秘を繰り返すなどの症状が1カ月以上続く疾病です。原因はストレスと不規則な 生活、偏った食事などです。消化器は自律神経と密接に関係しています。ストレスが 多い社会状況を反映してか、最近特に症状を訴える人が多くなりました。思春期、社 会に出たばかりの20代の女性、働き盛りで責任の重い40~50代の男性と、ストレスを 強く感じる層に多く現れます。月曜日の朝や、出勤・通学時、外出前など、緊張や不 安で精神的なストレスを強く感じる時に症状が出やすい病気です。逆に、週末や夜な ど、精神的にリラックスしている時には、まったく症状が現れません。下痢の場合 は、食事内容とは無関係に下痢が1日2~3回、ときには数回以上も起こり、特に朝 食後に多く見られます。1回の量は少なく、十分排便できないため不快感が残りま す。便秘タイプは、便意を催してトイレに行ってもコロコロとした硬い便しか出ませ ん。下痢と便秘を繰り返す交替性便通異常は、軟便や水様便、粘液が混じった便など が続き、その後は便秘をしたり、コロコロした便、細い便が出るなどの症状を繰り返 します。治療は、まずストレスを発散させ、規則正しい生活・食生活を心掛けるな ど、原因を取り除くことから始めます。どうしても必要であれば、下痢止めや整腸剤などを症状に合わせて処方することもあります。

大病に進行すること はないのでしょうか。

 生活の上での不便はあり ますが、大病につながることはまずありません。「下痢をするんじゃないか」「お腹 が痛くなったらどうしよう」と不安に思う気持ちが、さらに精神を不安定にさせ、症 状を強くすることもあります。精神をうまくコントロールすれば、症状は軽くなりま す。ただし、「過敏性腸炎だから」「昔から緊張すると腹痛がするから」と受診しな いでいると、ほかの病気の発見が遅れる場合があります。大腸ガン、クローン病の症 状とも重なるので、心配を取り除くために、一度は受診してください。

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