2003年3月26日水曜日

「急性と慢性の痛みの違いと治療方法」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

急性と慢性の痛みの違いについて教えてください。

 多くの場合、痛みは体の変化を知らせる一種のサインです。「痛みがあったら病院へ」と体が警告を発していると考えてください。急性の痛みは、痛みの原因を取り除けば治まる場合がほとんどです。椎間板(ついかんばん)ヘルニア、帯状疱疹(ほうしん)、五十肩、坐骨神経痛、三叉(さんさ)神経痛などは、早期に痛みを取り除けば、早々に治癒しますが、放っておくと悪化したり、長引くことがあります。痛みが3カ月以上続く場合は、慢性痛と考えられます。ヒザが痛い、腰が痛い、極端な肩こりなどは、体の痛みによって日常生活に支障を来し、ストレスの原因になります。ストレスを感じることによって、さらに体の痛みが増幅するということも珍しくありません。また、心理面での悩みや、不安感が痛みを誘発している場合も多く、本人さえ痛みの原因に思い当たらず、医療機関で原因不明と診断されることもあります。特に、現代は景気や社会情勢、家族間の問題など、ストレスに感じることが多く、体の痛みを増幅する原因になっています。

痛みの治療方法を教えてください。

 ぺインクリニックは、痛みを取り除く専門の病院です。人間が「痛い」と感じるのは、痛みを受けた部分の刺激が知覚神経によって脳に伝達されるためです。その際に交感神経なども興奮し、血管の収縮、筋肉の緊張などを招き、患部に痛み物質がたまり、さらに痛みを増す結果となります。この悪循環を断ち切るのが「神経ブロック療法」で、麻酔薬を注射することによって神経の働きを一時的に抑えます。痛みを抑えることで血流が良くなり、痛み物質が流れて麻酔が切れても痛みが戻らない治療です。症状や個人によって効果は違うので、1回で治ることも、数回またはそれ以上繰り返し治療することもあります。急性の痛みは治療が比較的簡単ですが、慢性疼(とう)痛に関しては複雑な背景などがあり、ペインクリニックだけでは治療しきれない場合もあります。症状によっては心療内科医などと協力して治療にあたることも必要になります。

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