2003年3月12日水曜日

「心の健康」について

ゲスト/岡本病院 村木 彰 医師

最近、心の病に悩む人が多いと聞きますが。

 社会の閉塞(へいそく)感や生活に対する不安が大きい時代ですから、気分が滅入る、意欲が低下している、食欲が無い、不眠傾向にあるなどの症状で、うつ病ではないかと悩む方が多く来院されます。一般的に多いのは、反応性の抑うつ状態で、これは置かれている状況に対する反応で、うつ病とは異なります。うつ病は、「脳の中の元気のもと」が枯れてしまったような状態です。うつ病の場合は十分な休息をとり、抗うつ剤を投与することによって、症状が改善することが多く、比較的治療しやすいといえます。むしろ、環境によって左右される抑うつ状態の方が、治療が難しいのです。仕事や金銭のストレス、家庭内の問題など、根本的な原因について、医師の力だけでは解決することができず、カウンセリングを主体に補助的に投薬を行うなどして対応します。抑うつ状態からうつ病に移行することもあり、両者の見極めは難しいので、まず専門医に相談し、適切な治療を受けることをお勧めします。

心の健康を保つためには、どのような点に注意したらいいですか。

 うつ病、抑うつ状態は、手を抜いたり、気分転換ができないまじめな人に多く見られる傾向があります。日常生活や仕事だけが人生のすべてということになると、それらが順調にいかなくなった場合、精神的に追いつめられてしまいます。熱中できる趣味を持つことで、日常生活のしがらみからの逃げ場を作るのも一つの方策です。どんな趣味でも構いません。手っ取り早く熱中できるものの一つに、スポーツ観戦があります。ひいきのチームや選手を応援し、ファン同士で語らうことによって、ストレスを発散できます。私は一番に地元のプロフットボールチーム「コンサドーレ札幌」の試合観戦をお勧めします。昨年のように負け続けると、かえって精神衛生に良くないですが、今年は大丈夫でしょう。また、すでにうつ病になってしまった場合には、適切な薬物治療と休養が大切です。周囲の人も病気を理解し、「がんばりなさい」などと激励することは、控えた方が適切です。エネルギーが十分になれば、症状は改善されます。

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