2002年12月11日水曜日

「ほくろのガン」について

ゲスト/かとう皮フ科クリニック 加藤文博 医師

ほくろのガンについて教えてください。

 正式には悪性黒色腫(しゅ)といい、非常に悪性度が高い皮膚ガンの一種です。足の裏、ツメ、指など皮膚の末端で、刺激を強く受ける部分に発症する例が多く見られます。ほくろのガンというと「新たにできたほくろ」と思われる人が多いようですが、実際には、約半数はもともとあったほくろから生じると考えられています。年齢的には、50~70歳代が多いのですが、中には10~20歳代の人もいます。男女比は、ほぼ同程度です。初期であれば、切除すればまず完治しますが、悪性度が強いので、進行してしまうと治療が難しくなります。リンパ節をはじめ、さまざまな臓器に転移しますが、転移前は急激にほくろが大きくなります。

予防法や早期発見の注意点をご紹介ください。

 紫外線が強い地域に住む白色人種は発症率が高いことから、紫外線が悪影響を与えていると考えられます。また、摩擦など機械的な刺激を受けることも発症の要因であると考えられます。紫外線、刺激は、なるべく避けた方が良いでしょう。疑わしいほくろの特徴として、左右が対称ではなくいびつな形をしたもの、辺縁から色が染み出ているもの、色むらのあるもの、6mm以上の大きさがあるもの、徐々に大きくなっていくものが挙げられます。このようなほくろがあったら、すぐに受診することをお勧めします。悪性黒色腫の恐ろしい点は、初期に痛み、かゆみ、出血などの自覚症状がまったく無いことです。「痛くもかゆくもないから、放っておいて大丈夫だろう」とほくろを放置した結果、手遅れになるというケースが多いのです。また、以前からある普通のほくろがガン化する例も多いので、時々は、自分自身でほくろの状態を確かめてみましょう。ひっかいたりこすったりしやすい個所にある、出血しやすい、サイズが大きいなどのほくろは、万が一のガン化を予防する意味で、事前に切除してしまうこともできます。「たかがほくろ」と思わず、気になったらすぐに皮膚科を訪ね、相談してください。

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