2013年10月2日水曜日

バレット食道


ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

バレット食道とはどのような病気ですか。
 食道は、体表の皮膚と類似した「扁平(へんぺい)上皮」という粘膜で覆われています。その扁平上皮の粘膜が、胃の粘膜に似た「円柱上皮」に置き換わった状態をバレット粘膜といい、その食道をバレット食道と呼んでいます。
 バレット食道は、食道腺がん(バレット腺がん)に移行すると考えられています。バレット粘膜からバレット腺がんへのがん化の原因は、円柱上皮への置換と遺伝子異常が関与しているとされますが、まだ十分には解明されていません。
 欧米では、食道がんの約半数はバレット食道から発生する腺がんであり、バレット食道は腺がんの発生母地(ぼち)として注目されています。日本では、食道がんの90%以上は扁平上皮から発生するがんなのですが、ライフスタイルの欧米化などにより、将来的にバレット腺がんの増加が危惧されています。
 欧米の定義によると、本来の食道胃接合部(食道壁と胃壁の境界部)から食道側への円柱上皮のはい上がりが3cm未満(ショートバレット食道:SSBE)と3cm以上(ロングバレット食道:LSBE)に分けて考えた場合、後者の方が食道がんの発生頻度が高いといわれています。欧米の報告ではLSBEが多くなっていますが、日本ではほとんどがSSBEで、LSBEまで進展する症例は少数です。

バレット食道の症状、治療について教えてください。
 症状としては、逆流性食道炎にみられる胸やけや苦い水が上がってくるなどを訴える人が多いのですが、まったく無症状の人も少なくありません。特にLSBEの症例では、酸逆流に対する知覚のメカニズムが荒廃している可能性があり、そのため無症状のままLSBEが継続し、がんが発生・進行して症状が出るまで気付かないというケースがあると推測されています。
 治療は、日本ではがんの発生頻度が低いことから、無治療あるいは酸分泌抑制薬の内服だけで経過を見ることが多くなっています。欧米では、発がん予防の観点からバレット食道に対する内視鏡的焼灼(しょうしゃく)術も試みられていますが、日本ではほとんど行われていません。
 近年の内視鏡技術の進歩により、極めて早期のがんを発見できるようになってきました。バレット食道と診断された場合、専門医を定期的に受診し(年1〜2回)、内視鏡検査を受けることをお勧めします。