2013年10月21日月曜日
子どもの矯正歯科治療に最適な開始
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
子どもの矯正治療はいつから開始すればいいですか。
他の先進諸国と比較して、日本人の歯並びに対する意識は低いといわれます。欧米では、子どもが矯正装置を付けているのは日常的な光景ですが、日本ではまだ矯正治療にネガティブなイメージを持っている人が少なくないようです。とはいえ、近年は歯並びやかみ合わせの重要性が徐々に理解され始め、「きれいな歯並びを」という親心で歯を矯正する子どもたちが増えているのは喜ばしいことです。
「矯正はいつ始めればいいですか」と聞かれることがよくあります。矯正治療に年齢制限はありませんが、顎の骨が成長途中にある子どものうちに行うのがベストでしょう。成長する力を利用することで、正しくかめるように骨格を誘導し、スムーズに歯並びやかみ合わせを改善できるからです。将来の抜歯や手術を回避できる可能性も上がります。また、この時期の矯正治療は使用できる装置の選択肢が豊富で、それぞれの子どもに合った治療方法を選べるというメリットもあります。
ただし、矯正治療の開始時期というのは、歯並びの現状、歯や骨の発育状況などによって変わってきます。まずは矯正歯科医で検査を受けることが第一歩です。
矯正歯科医で検査を受けるのに最適な時期はありますか。
小学校の就学時、もしくは上下前歯が乳歯から永久歯に生え替わるタイミングで、一度矯正歯科医を受診し、歯並びやかみ合わせを点検することをお勧めします。この時期にかみ合わせを見ると将来の歯並びが予測できます。はっきりと外見から分かる症例だけでなく、一般の方の目にはほとんど分からない不正咬合(こうごう)の兆候も見ることができます。治療が必要かどうか、治療を始める時期はいつごろかなど、子どもの歯並びの現状と将来の見通しの説明を受けるチャンスと考え、気軽に相談してみてください。
歯並びやかみ合わせが悪いと、よくかんで飲み込むという顎の機能がうまく育たない、発音が不明確になりやすいといった悪影響を及ぼします。呼吸や姿勢などの機能や全身の発育に影響するとの報告もあります。心理的にも口元の形の悪さがコンプレックスのもとにもなりかねません。子どもの口腔ケアには、保護者の協力が不可欠です。「子どもの将来の安心」につながることを理解いただき、歯と口の中のことも気に掛けてあげてください。
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