ゲスト/医療法人社団 いし胃腸科内科 松原 央 副院長
子どもの予防接種について教えてください。
子どもは病気に対する抵抗力が未熟なため、予防接種が必要不可欠です。しかし、ワクチンはたくさんの種類があり、それぞれ接種しなければならない年齢や時期、回数などが異なります。また、ワクチン同士に厳密な接種間隔の順守法則があります。例えば、ポリオやBCG、おたふくかぜなどは最低4週間、三種混合(DPT)や日本脳炎は最低1週間の間隔を空けないと他のワクチンを接種することができません。そのため、予防接種のスケジュールを組むことが難しいと感じているご両親も多いようです。
予防接種をベストタイミングで受けるためには、専門医とよく相談することが大切。ワクチンの中にはヒブワクチンと三種混合(DPT)のように同時接種が可能なものがあり、一度の来院で何種類かを同時に接種できるものもあります。保護者の予定や保育園の日程などを考慮しながら、無理のないスケジュールを組んでください。ワクチンの打ち忘れをなくすため、スケジュール表はいつも目にする場所に貼っておくとよいでしょう。
最近注目されているヒブ、肺炎球菌について教えてください。
幼い子どもが発症しやすい中耳炎や菌血症、細菌性髄膜炎などの細菌感染症の多くは、ヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)と肺炎球菌という細菌が原因といわれています。なかでも脳や脊髄を覆っている髄膜の中に細菌が入り込むことで発症する細菌性髄膜炎は、1歳未満の子どもに多くみられ、毎年全国で約800人の子どもが発症し、その中の約10~20%は難聴やまひなどの重い後遺症を残しています。
3歳までの幼い子どもには、ヒブや肺炎球菌に対する抗体がないため、保育園や幼稚園などでの集団生活の中で感染する可能性があります。しかし、それぞれのワクチンを接種することで感染症の発症、または重症化をほぼ100%防げるため、1歳未満でのワクチン接種がとても重要となります。現在、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの公費化が全国的に進められ、札幌市でもこの1月以降、生後2ヵ月~4歳までの子どもを対象として全額公費助成されます。これらのワクチンは生後2ヵ月から接種することができ、同時接種も可能ですので、専門医に相談し、積極的に受けるようにしましょう。