2006年12月6日水曜日

「加齢黄斑(おうはん)変性症の光線力学療法」について

ゲスト/大橋眼科 大橋勉 医師

加齢黄斑変性症とはどんな病気ですか。

 視野の中央がよく見えない、暗く見える、ゆがむといった症状が現れたら、加齢黄斑変性症が疑われます。人間の眼(め)は、角膜、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通って、網膜の上に像を結んで物を見ます。その中心部は黄斑部と呼ばれ、物を見るために最も重要な部分です。この黄斑部に異常な老化現象が起こり、視力が低下する病気が加齢黄斑変性症です。原因は、健康な状態では存在しない新しい異常血管が、黄斑部の脈絡膜(網膜より外側に位置し、血管が豊富な膜)から発生し、網膜側に伸びてきます。この新しい血管は新生血管と呼ばれ、血管壁が大変もろいため、血液や血液成分が黄斑組織内に滲出(しんしゅつ)し、黄斑機能を妨げます。出血や滲出物によって、視力の低下や、物がゆがんで見えるなどの症状が出現します。放っておくと高度の視力障害や、最悪の場合失明することもあります。

治療法について教えてください。

 治療の一つとして、最近注目されているのが光線力学療法(PDT)です。光に対する感受性を持つ光感受性物質(ベルテポルフィン)を、ヒジの静脈から注射し、それが新生血管に到達したとき、非熱性の半導体レーザーを当てて、その光感受性物質に化学反応を起こさせます。そうすることによって、強い毒性のある活性酸素が発生し、新生血管の血管内皮細胞が破壊され、血管が閉塞(へいそく)します。この治療で使用するレーザーは通常のものと異なり、新生血管周囲の組織への影響は少なく、視力への影響は軽度です。しかし、まれに網膜出血が増加することがあります。一度傷ついた網膜は元に戻りませんが、新生血管をつぶすことによって病気の進行を止めることができます。初回の治療には2泊程度の入院が必要で、状態に応じて数回の治療が必要な場合もあります。もちろん、治療は健康保険が適用になります。
 加齢性黄班変性症は、早期に治療するほど効果が期待できます。視力の異常を感じたら、すぐに専門医を受診してください。道内で光線力学療法を実施している施設は少ないので、主治医によく相談してください 。

(眼科PDT研究会http://www.pdti.jp/参照)