2002年5月22日水曜日

「尿路結石」について

ゲスト/元町泌尿器科クリニック 西村昌宏 医師

尿路結石について教えてください。

 腎臓内にできた結石が、腎臓と膀胱(ぼうこう)を結ぶ尿管に入り、「仙痛発作」と呼ばれる激痛を引き起こします。痛みは背中から側腹部、下腹部に広がる場合があります。日本人の20~25人に1人程度が経験するといわれる疾患で、年齢、性別にかかわらず発症し、また一度かかった人が再発する可能性は4割を超えています。原因は多くの場合不明ですが、体質や食事習慣、飲料水などが関与しているといわれています。結石の成分は、尿に溶け込んでいるカルシウムやシュウ酸、リン酸などで、これらが何らかの原因で結晶となり、有機物質も取り込んで石のように固まってしまったものです。尿管が結石でふさがれると尿が停滞し、上部の尿管や腎臓が腫(は)れた状態になります。

どのような治療方法がありますか。

 石が1cm以下であれば、水分を多く摂(と)って尿と一緒に自然に排出されるのを待ちます。自然排石されない場合や石が大きい場合は、手術が必要になります。開腹はせず、体の外から衝撃波を当てて砕石する「ESWL」という方法や、細い内視鏡を尿道、膀胱を通して尿管内に入れ、結石を直接見てレーザー照射で砕く「TUL」という方法が一般的です。ESWLは、位置によっては砕けず、また肥満の人は砕けにくいという特徴があり、砕石の確率は約7割です。TULは、目で確認しながらの照射なので、ほぼ確実に砕石できますが、尿管が曲がっていたり、石の位置によっては内視鏡が届かないこともあります。どちらの方法にも一長一短がありますから、結石の場所、形、硬さ、大きさなどを考慮し、治療法を決定します。ESWLの場合は、日帰りから1泊2日の入院、TULの場合は2、3日の入院で治療できます。治療せずに痛みが治まってしまうこともありますが、腎臓にダメージを与えていることもあるので、とにかく仙痛に襲われたらすぐに泌尿器科を受診してください。夏場は水分不足から尿路結石を発症する人が多いので、汗をかいたらまめに水分を補給してください。

2002年5月15日水曜日

「紫外線の影響」について

ゲスト/かとう皮フ科クリニック 加藤文博 医師

紫外線が肌に与える影響について教えてください。

 太陽から届く光線は、波長の長いものから赤外線・可視光線・紫外線に分類されます。波長が短いほどエネルギーが強く、肌にダメージを与えます。紫外線を細かく分類すると、波長の長いものから、UV-A、UV-B、UV-Cとなります。UV-Aは皮膚の深い層まで届いてシワやたるみの原因になります。UV-Bは肌が赤く日焼けする原因になります。UV-Cは、DNAを破壊してしまいます。このうち、オゾン層を通過して地表に到達するのが、UV-AとUV-Bの一部で、皮膚の内側から老化に作用し、シミ、シワ、ホクロの原因になります。元々の肌が白いほど紫外線に弱く、黒人よりも白人の方が、また日本人でも肌色が黒い人より、色白で太陽に当たるとすぐ赤くなる人の方が、強く影響を受けます。

効果的な紫外線対策を教えてください。

 紫外線は、5月から7月にかけてが最も強い季節で、時間帯としては午前10時から午後2時ごろまでがピークになります。屋外に出るときは、サンスクリーンと呼ばれる日焼け止めクリームを顔など露出する部分に塗りましょう。日焼け防止を目的とした化粧品には、通常「SPF値」が表示されています。これは、日焼けを防ぐ時間を表しており、日本で日常生活の中で使用するのであれば、10~30程度で十分でしょう。リゾート地などでは、50くらいの数値の高いものを使用しますが、いずれにしても汗などで流れてしまうので、3、4時間おきに塗り直さなければ効果がありません。このほかに、日傘、帽子、長袖など、とにかく直射日光を避ける服装が効果的です。日焼けした子供は健康的というイメージがありますが、30~40歳代で出るシミ、シワ、ホクロは、子供時代からの日焼けの蓄積によって出現するのです。紫外線が原因の皮膚ガンも、最近日本で増えつつあります。オゾン層の破壊によって有害な紫外線が増えていることからも、肌の健康を第一に考えれば、紫外線は避けるに越したことはありません。

2002年5月8日水曜日

「歯の健康」について

ゲスト/石丸歯科  石丸俊春 歯科医師

虫歯予防について教えてください。

 まず認識していただきたいのは、虫歯はほぼ100%予防できるということです。ケアさえ完全なら、一生涯虫歯ゼロで過ごすことができるのです。歯のケアには、ホームケアとプロフェッショナルケアの2種類があります。ホームケアの基本は毎日の歯磨きです。毎食後の歯磨き、就寝前の歯磨きのうち、1度は徹底して磨く時間にしてください。この毎日のホームケアを、より効果的に行うために必要なのが、プロフェッショナルケアです。最初に、虫歯になりやすい、なりづらいなど歯や唾(だ)液の質を判断し、また生え方、歯の形、歯並びなどから、もっとも効果的なブラッシング方法などホームケアのコツを歯科医がアドバイスします。個人に合ったブラッシング方法によって、効率的な磨き方を学ぶことができます。実際にブラッシングを何度か指導し、さらに年に数回、プロによるチェックによって、歯の健康を守ります。もちろん、家では取りきれない歯石や歯の汚れもケアします。ホームケアとプロフェッショナルケアがうまく連動すれば、虫歯のない一生も夢ではありません。

歯の健康を保つために、どのような点に注意すればいいですか。

 現在の虫歯・歯周病治療は「ミニマムインターベーション(最小の侵襲)」といって、極力削らない、抜かない治療が主流です。具体的にはう蝕(虫歯)の正しい診断から治療計画を立て、できるだけ削らない、抜かない治療を行います。この間、患者さんとのコミュニケーションを取りながら、十分に説明し、理解をしてもらいます。このような信頼関係を築ける歯科医師であれば、今後のケアについても安心して任せることができます。「ブラッシングについてアドバイスを」と、要求すればいいのです。十分な説明もなく治療するようであれば、遠慮無く病状、治療内容、予後の見通しなどについて質問してよいと思います。「おいしく食べる、楽しい食事」というのは、人生の質にかかわる問題です。6月4日の虫歯予防デーを前に、ぜひ歯の健康管理という問題を真剣に考えてみてください。

2002年5月1日水曜日

「痔(じ)ろう」について

ゲスト/札幌いしやま病院  樽見研 医師

痔ろうについて教えてください。

 痔ろうは、直腸と肛門の境界部分にある肛門陰窩(か)というすき間に細菌が入って感染することによって、肛門周囲膿瘍(のうよう)になることから始まります。肛門周辺に膿(うみ)がたまり、炎症を起こして激しい痛みや発熱に襲われます。しかし、膿瘍が破れたり、病院で切開して膿が出きってしまうと、痛みも治まり、完治したかのように感じます。実際には、肛門周囲膿瘍によって肛門内と皮膚との間にできた細菌の通り道が、トンネル状にじわじわと広がっていきます。この状態を痔ろうといいます。痔ろう初期の自覚症状としては、いったん痔ろうが完成されてしまうと、違和感や鈍痛、痔ろうによって出来た穴から膿が出て下着を汚す程度です。しかし、排便のたびに細菌に侵されるため、痔ろうは枝分かれして複雑に広がり、肛門周囲にできる出口の穴が複数になる場合もあります。痔ろうになる原因ははっきりしていません。30~40代の人に多く、圧倒的に男性の罹患(りかん)率が高いようです。遺伝的なものではなく、特に発病のきっかけとなる要因も特定できませんから、予防法もありません。あえていうなら、下痢や体の抵抗力の低下を招く不摂生などを避けましょう。

痔ろうの治療はどのように行われますか。

 肛門周囲膿瘍の時点では膿を出す応急処置をすると、症状が消えます。しかし、痔ろうの根本的な治療にはなりません。痔ろうになってしまった場合、手術によって病巣を摘出することが唯一の治療法です。手術で問題となるのが括約筋をいかに傷つけないかということです。括約筋を切れば術後肛門のしまりが悪くなります。複雑な痔ろうの手術は技術的に難しいので、経験の多い病院を選ぶことが肝心です。病巣が深い場合は括約筋温存手術が不可能になってしまうこともあり、早めの受診が必要です。手術に伴う入院期間は軽いものなら2、3日、重症の場合は3週間程度です。まれに痔ろうがガンに移行することもあります。また、難病に指定されているクローン病の合併症として現れる場合もあります。下着に膿が付着したら、痔ろうを疑い専門医に相談してください。