2024年5月24日金曜日

認知症デイケアの役割

<認知症デイケアではどのようなサービスが提供されますか>


 認知症デイケアは、精神科病院・診療所に併設される通所医療施設です。認知症の方であれば、通常のデイケア(通所リハビリ)やデイサービス(通所介護)のご利用が可能ですが、認知症の方に対する専門的なサービスとして認知症デイケア(重度認知症患者デイケア)もご利用いただけます。

 最大の特徴は、精神科医のほか看護師・作業療法士・精神保健福祉士・介護福祉士などの多職種が連携して、さまざまな行動・心理症状(不安、妄想、幻覚、徘徊(はいかい)、抑うつなど)のある利用者さまに質の高いケアを提供する点にあります。施設によって異なりますが、当施設の一般的な1日の流れをご紹介します。まず朝送迎スタッフがご自宅までお迎えに参ります。施設に着いたら体温や血圧、脈拍などの健康チェックを行い、朝の会などで日付や曜日を確認したり、最近のニュース、季節や旬の話題を取り上げ、認知機能(時間や場所、状況などを把握する能力)にアプローチします。その後、利用者のペースに合った体操などを行います。椅子に座りながら全身運動ができる「チェアロビクス」や、認知症予防に役立つとして開発された「コグニサイズ(軽く息が弾む程度の運動と同時に、簡単な計算、しりとりなどの課題に取り組むこと)」。その他懐かしい写真や映像などを見ながら思い出を語ることで脳を刺激する「回想法」、音楽鑑賞や映画観賞、他者との交流で心身機能の向上を促すさまざまなレクリエーションなどを日替わりで行います。

 専門スタッフが生活に近い場面で、長時間にわたり利用者さまと一緒に過ごすので、普段と比べて足の運びが悪い、表情が険しい、排尿間隔が短い、よだれが多いなどの異変に気付き、過去には腰椎圧迫骨折や脳梗塞、尿路感染症など他科の病気の早期発見につながったケースもありました。

 スタッフや他利用者さまとの社会的交流による「笑う」などの感情表出、立位保持や重心移動といった残存能力のある利用者さまが手引き歩行により歩くことに自信がついた、活動量増加により睡眠時間が増えたといったお声を家族さまや入居施設さまからお聞きしております。

 認知症デイケアの費用には医療保険や後期高齢者医療、自立支援医療が適用されますので、多くの利用者さまが介護保険によるデイサービスよりも少ない負担で利用でき、家族さまの在宅介護の負担軽減につながりますのでぜひご活用ください。





さっぽろ香雪病院
デイケア科科長
(作業療法士)
平田 沙緒里

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