2024年4月27日土曜日

北海道の花粉症と、花粉─食物アレルギー症候群(PFAS)

 <北海道の花粉症について教えてください>


 北海道の花粉症は、4月中旬〜5月下旬がピークの季節です。本州に多いスギ花粉はわずかで、ハンノキ、シラカバなどカバノキ科の花粉症が主体です。その頃にはしつこい鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの花粉症の症状とともに、せきが長く続いて来院される患者さんが増えてきます。

同時にぜんそく患者さんの中にもせきや、息を吐く時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という音がする喘鳴(ぜんめい)が出現したり、鼻炎の症状を伴う患者さんが多くなります。鼻と気管支は空気の通り道として一つにつながっているので、花粉症の悪化の程度とぜんそく症状は密接に関連しているのです。

 また、近年は花粉症の人が、果物や生野菜、豆類のアレルギーになる「花粉─食物アレルギー症候群(PFAS)」が増えています。


<花粉─食物アレルギー症候群とは、どのような病気ですか>


 花粉症を引き起こす花粉のアレルゲンの一部のたんぱく質は、果物や野菜に含まれるたんぱく質と形が似ています。このため、体に入ったときに区別できず、果物や野菜を食べた時にもアレルギー反応を起こしてしまうのです。これを交差反応といいます。PFASでは、唇が腫れる、口の中や喉がイガイガするなどの症状が出ます。口や喉に限った症状が多く、重症化するのはまれですが、重篤な状態に陥る場合もあるので注意が必要です。

 花粉症の種類によって、アレルギーを起こしやすい果物・野菜は異なります。カバノキ科の花粉症の患者さんは、リンゴやモモ、サクランボなどバラ科の果物のアレルギーを持っていることが多いです。そのほか、同様のアレルギー症状が出る食物には、キウイやイチゴ、豆乳や大豆、ナッツ類、ニンジン、セロリ、ジャガイモなどがあります。

 対処法としては、原因となる食物を食べないことが基本です。アレルギー症状が出ている時は、抗ヒスタミン薬を処方するのが一般的です。

 花粉症の症状に加え、発熱やレントゲンでの異常がないのにせきが長く続いている場合や、特定の果物を食べた時に何らかの不快な症状が出る場合は、呼吸機能検査や血液検査などでアレルギー素因を持っていないか、ぜんそくを発症していないかを調べてみるとよいでしょう。原因を特定し、それに合った治療を受けることが大切です。




医療法人社団
大道内科・呼吸器科クリニック
北田 順也 副院長

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