<関節リウマチとはどのような病気ですか>
関節リウマチは、免疫機能の異常が原因で関節に炎症が起き、放置すると骨や軟骨の変形が進む病気です。初期症状としては、手のこわばり、手指の関節痛などが代表的です。近年は、関節エコーやMRIといった画像検査・診断の進歩により、初期症状として関節炎だけでなく、腱鞘炎もよくみられることが分かってきました。
指の動きが悪い、指を動かすと痛む、手首が痛いなどが腱鞘炎の代表的な症状です。起床時の痛み、こわばりや腱鞘炎の症状が何日も慢性的に続くようなら、関節リウマチの可能性があります。関節リウマチの治療は少し前まで痛みを抑えることが目標でした。しかし、生物学的製剤の登場など治療の進歩は目覚ましく、早期に治療を始めることで、症状が落ち着いて安定する寛解状態も目指せるようになりました。ただし、一度変形してしまった関節を戻すことは難しいので、関節リウマチを悪化させないポイントは、早期発見・治療に尽きます。異変を感じたら、「年のせい」などと放置せず、専門医を受診することが何よりも大切です。
<早期発見・治療につながる画像検査・診断について教えてください>
早期発見・治療のために画像検査・診断の重要性は、ますます高まってきています。レントゲンでは判断できない炎症や血流の状態を、リアルタイムに、そして、時系列的に診断可能な検査に「関節エコー」があります。怪しいと思われる関節に、聴診器のように関節エコーを当てると、炎症を起こしている箇所が、まるでメラメラと燃えているかのように画面に赤く映し出されます。診断時には、腫れているかどうか迷うケースや、腫れていないのに痛みがあるケースなど、診察だけでは分からない炎症を拾い上げることができます。経過観察時には、治療薬が効いているかどうか、その効果の判定と、効果がないなら別の方法を考える参考にもなります。また、寛解状態に入った時も関節エコーを用いれば、画像的にも確実に炎症が消えていることを確認できるので、より正確に薬剤の減量や中止を判断することができます。
患者さん自身の目で炎症の状態や病状の推移を確認できるので、病気や治療に対する理解に役立ち、リウマチを鎮めていこうという強い気持ちである「治療心」を高められるというメリットも大きいです。
佐川昭リウマチクリニック
佐川 昭 理事長