2023年1月12日木曜日

帯状疱疹ワクチン

 白石内科クリニック 干野 英明 院長


帯状疱疹(ほうしん)とはどのような病気ですか。


 近年、「帯状疱疹」になる方が増えています。帯状疱疹は、体や顔の左右どちらかに痛みを感じ、水膨れのある発疹が出ます。半月ほどでかさぶたになって治りますが、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが続くこともあります。帯状疱疹は過去に水ぼうそうにかかった時、神経の中に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが潜伏し、加齢や疲労などで体の抵抗力が下がった時に再び活性化することで発症します。水ぼうそうの経験がある方なら、誰でも罹患(りかん)リスクがあります。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。

 増加傾向にある理由は、高齢化や2014年に水痘ワクチンが小児対象に定期接種化されたことで、ウイルスに暴露する機会が減り、それに伴って帯状疱疹への抵抗力が弱まったことなどが考えられます。


帯状疱疹ワクチンについて教えてください。


 予防のための帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと成分ワクチン(サブユニットワクチン)の2種類があります。どちらも適用は50歳以上となっています。

 生ワクチンは1回の接種で済み、副反応は発熱や局所の発赤程度で済むことが多いようです。ただし、抗がん剤やステロイドを使っている方、リウマチなどで免疫を抑制する薬を使っている方などは再感染のリスクがあるため接種できません。

 成分ワクチンは、遺伝子組み換え技術を用いて作られたものです。ウイルスそのものではなく、感染時にウイルスの表面に発現するたんぱく質の一つを人工的に合成したものと、「アジュバント」と呼ばれる物質・成分を組み合わせた最新のワクチンです。アジュバントとは、ワクチンと一緒に投与して、その効果を高めるために使用される物質です。人工的に合成したたんぱく質に対して効率よく抗体が産生され、ウイルス感染を抑制できます。8週間以上の間隔を置いて合計2回接種します。生ワクチンと比べ、発熱や倦怠感(けんたいかん)などの副反応が強い傾向があります。

 帯状疱疹の発症予防効果は、生ワクチンでは約50%、成分ワクチンでは(50歳以上で)97%という結果が出ています。また、成分ワクチンの予防効果は約9年間持続することが確認されていて、成分ワクチンは副反応が強く起こる可能性はあるものの、効果は非常に高いといえます。

 自治体によってはワクチンの接種費用の補助が出るようです。かかりつけの医療機関にお問い合わせください。

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