2022年7月13日水曜日

胸部健診・肺がん検診の精密検査について

 ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 北田 順也 副院長


胸部レントゲン検査で異常を指摘されましたが、どうしたらいいですか。

 健康診断や肺がん検診の胸部レントゲン検査で「要精密検査」の判定を受け、いったい何が起こっているのか、自分はどうなってしまうのかと不安な気持ちになった方もいらっしゃると思います。

 レントゲン検査は立体的な人間の体を1枚の平面画像として写します。正常であれば左右の肺の部分が黒く写り、背骨や鎖骨、肋骨、血管や皮膚が白く写ります。このような黒と白のコントラストから病気の有無を判定していきますが(専門的には読影(どくえい)と言います)、肺の中の白い影が病気によるものか、正常の骨や皮膚による影なのか判断が難しいケースも出てきます。

 健診やがん検診で最も避けなければならないのは、病気があるのに見逃すということです。そのため、レントゲン写真で少しでも異常と思われる所見があれば、基本的には「要精密検査」と判定します。したがって、実際に精密検査を受けて詳しく調べた結果、最終的に「異常なし」と診断されるケースも多くあります。また、実際に病気が見つかることもありますが、健診やがん検診の段階で発見される場合、たとえ肺がんであっても治癒が見込める“早期”の可能性も十分にあります。

 精密検査が必要とされた方の中には、多忙を理由にしたり、恐怖心から受診をしない方もいらっしゃいますが、絶対に放置しないでください。過度な心配は必要ありませんが、ためらわず、できるだけ早く受診してほしいと思います。


精密検査では、どのような検査が行われますか。

 精密検査では病変や異常の有無の確度を高めるため、多くは胸部レントゲン写真の再検査のほか、「胸部CT検査」を行います。

 胸部CT検査は、体を細かく輪切りにして撮影する検査で、肺の断面図を見ることができます。断面図なので、レントゲン写真で見えた肺の中の白い影が、骨や血管などによる影なのか、病気による異常な影なのかを、ほぼ確実に見分けることができます。胸部レントゲン検査に比べ、病気を発見する精度は胸部CT検査の方が高いです。一方、CT検査はレントゲン検査に比べると用いる放射線の量は多くなります。被ばく量を考慮し、CT検査を躊躇する方も少なくないと思いますが、最近は被ばく量を抑えた「低線量CT」で検査を行っているところも増えているので、心配な方は医療機関に直接問い合わせてください。

人気の投稿

このブログを検索