2020年11月25日水曜日

高齢者講習の前に眼科の受診を!

 ゲスト/月寒すがわら眼科 菅原 敦史 院長


高齢者講習や免許更新の前に、眼科を受診した方がいいのはなぜですか。

 70歳以上の高齢運転者の免許更新に必要な高齢者講習には、座学や技術講習のほか、視力検査を含む運転適性検査があります。視力検査は、動いているものを見る動体視力、正面を見て目線を動かさずに自分の左右がどれくらいの角度まで見えるかという視野角度の範囲、昼間と夜間など明暗の視力の違い、の3つを調べます。あくまでも「講習」ですので、それらの検査で視力が足りなくても直ちに免許を取り上げられることはありませんが、その後の免許更新時の視力検査に合格できなければ、再検査となり、それでも視力の基準に達していない場合は、免許の取り消しとなる場合もあります。

 コロナ禍で重症化リスクを抱える高齢者への3密を防ぐ対策が、高齢者講習の混雑に拍車をかけているようで、免許更新期限ぎりぎりになって受講できた高齢者が出ています。講習で視力の衰えを指摘されても、更新期限が迫っている中では治療が間に合わないケースも発生しています。高齢者講習、免許更新の手続きは余裕を持って早めに行動するのが大切ですが、高齢者講習の前に一度眼科を受診して、白内障や緑内障、加齢黄斑変性症などの病気にかかっていないか、自分の目の状態を把握しておくことが重要です。早期に診断して適切な治療や対策をすれば、免許更新や運転で必要な視力の条件、基準を満たせる可能性は高まります。

 70代の8割以上がかかる白内障は、老化に伴う目の病気の代表格です。目の中でレンズの働きをする水晶体が濁って見えにくくなります。白内障は手術で濁った水晶体を除去し、眼内レンズを埋め込むことで完治します。超高齢化社会を迎えたわが国では、白内障に罹患する人口が激増しており、手術を希望されても1カ月〜数カ月待ちになる場合も少なくありません。白内障が原因で視力が落ちているときは、更新に間に合うよう手術の予定を入れる必要があるので、やはり眼科の受診と検査はできるだけ早めに行ってもらいたいと思います。

 初期の白内障は点眼薬で治療をしますが、濁った水晶体を元に戻すことはできません。進行した白内障には手術が行われます。白内障手術は、局所麻酔を使用するため手術中の痛みはほとんどありません。手術は10〜20分で終了し、日帰り手術も広く行われています。手術の技術は日進月歩で進化し、眼内レンズの進化も相まって、希望通りの視力を手に入れることも可能になっています。

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