2016年8月17日水曜日
リウマチ治療〜『賢い患者』になるために〜
ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 院長
的確な治療を受けるために、上手な診察の受け方はありますか。
リウマチの診断・治療は目覚ましい進歩を遂げています。特に関節リウマチの炎症や痛み、腫れ、関節破壊を引き起こす原因となる物質を抑える生物学的製剤が登場し、治療の目標は「寛解(症状が落ち着いて安定した状態)」を目指せるようになりました。現在では、患者さんが医師とともに目標をもって治療を進める「T2T(treat to target)」の時代となっています。ただそれでもリウマチの療養生活は長期戦です。患者さん自身もリウマチという病気とその治療法を理解して根気よく付き合い、「賢い患者」となり医療機関を上手に活用していかなければなりません。ここではリウマチ専門医としての立場から、賢い患者になるためのヒントを紹介します。
受診する時は医師任せではなく、自分から症状を話し、どうしたいかを伝えることが重要です。医師に伝えたいことは事前にメモし、準備しておきましょう。“いつから”“どこが”“どのように”と症状や病状の変化を伝えるほか、治療中の病気など既往歴、おくすり手帳の服用履歴、健康診断の結果、不安や心配なこと、お願いしたいことなども患者さんから伝える大事な情報です。
医師の説明が分からない時は、納得するまで質問することです。特に、検査や治療の“目的”“方法”“効果”“見通し”など大事な説明は、聞き間違いなどを防ぐために、メモを取りながら聞きましょう。医師に直接言いにくいことは、看護師に相談するのも手です。
近年、患者さんから選ばれる病院を目指し、接遇力向上に力を入れる病院も増えています。私自身、知識や技術、経験だけでなく、不安を抱えている患者さんに寄り添う姿勢を忘れずに、一生のお付き合いができる関係づくりを大切にしています。患者さんも医師も人間同士。波長が合わない時もあるかもしれませんが、お互いが気持ちを通じ合わせる努力をすることも必要です。病気を治す目標に向けて二人三脚で歩む意欲を持ち、コミュニケーションを重ねていくことが、相互理解を深め信頼関係を強めるのです。
一人で悩まないでだれかに相談することも大切です。不安や悩みを分かち合い、支え合うことのできる患者会やサポートグループへの参加はとても有意義です。患者さんやご家族の立場に沿った情報も得られ、病気に対する意識が高まり治療にも役立ちます。
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