2013年5月1日水曜日
歯科でのマウスピース治療
ゲスト/医療法人社団アスクトース 石丸歯科診療所 近藤 誉一郎院長
歯科でのマウスピースによる治療にはどのようなものがありますか。
歯科医が作るマウスピースには、歯ぎしりの強い人に使用するナイトガードや顎(がく)関節症の治療で用いられるスプリント、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で使われるスリープスプリントなどがあります。
夜眠っている間に歯をギシギシとこすり合わせたり、ギュウギュウとかみしめたり、カチカチとかみ合わせたりする歯ぎしり。自覚がないことが多く、歯のすり減り方が極端に激しいなど、歯科医から指摘を受けて発覚するケースが目立ちます。
歯ぎしりは、周りで寝ている人に迷惑なだけでなく、歯のかむ面がすり減ってしまうため、冷たい物が歯にしみたり、顎の関節に痛みが出たり、頭痛を引き起こしたりするなど、いろいろな症状の原因となります。また、歯ぎしりしているときは強い力が働き、歯を支える骨などにダメージを与えるため、虫歯や歯周病の進行を速めます。
夜間、かみ合わせのバランスを整えたナイトガードで歯全体を覆うことで、歯や歯周組織、顎の関節などを歯ぎしりの強い力から守ります。
スプリント、スリープスプリントを使った治療について教えてください。
顎関節症は、口を大きく開けられない、顎を動かしたときに音が鳴る、顎の関節や筋肉が痛いなどの症状が出る病気です。何らかの原因で、顎関節や周囲の靭帯(じんたい)、筋肉に過剰な負担が掛かって起こります。顎関節症に対するスプリント治療は、マウスピースを歯の上にかぶせることで顎の関節や筋肉の負担を軽減します。
SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、日常生活にさまざまな問題を引き起こす病気。眠っているときに空気の通り道が狭くなり、いびきや無呼吸が起きます。日中の眠気やだるさ、集中力の低下などの症状があるなら要注意。一度詳しく検査することをお勧めします。治療はスリープスプリントを使って下顎を前方に数ミリ程度突き出させて、睡眠中に気道が狭まったり、ふさがったりするのを防ぎます。ただし、スリープスプリントを製作するには睡眠専門外来の医師による診断書が必要となります。
虫歯が多い、重度の歯周病にかかっている、総入れ歯を使っている人などはマウスピースの製作が困難な場合もありますので、日々の歯のメンテナンスをきちんと行うことが何よりも大切です。
人気の投稿
-
<不登校について教えてください> 不登校の小中学生が2023年度、過去最多の約29万人に上りました。当院の思春期外来でも、受診理由で一番多いのは不登校です。 不登校は大きくは、「行きたくないので、行かない」と「行きたいけど、行けない」の2つのタイプに分かれます。
-
<機能性ディスペプシアについて教えてください> ディスペプシアとは、「胃痛」「胃もたれ」「むかつき」などの不快な腹部の症状を指す医学用語です。これらの症状が続き、検査をしても胃潰瘍や胃がんなどの異常が認められない場合を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。
-
<骨粗しょう症について教えてください> 骨の組織では、古い骨を壊して吸収する働きと、吸収された場所に新しい骨を形成する働きが繰り返される「骨代謝」が行われています。骨粗しょう症は、骨代謝のバランスが崩れて骨がもろくなる病気です。