ゲスト/医療法人社団 いし胃腸科内科 石忠明副院長
胃の内視鏡検査について教えてください。
胃の内視鏡検査は、胃がん、胃潰瘍、胃炎、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など上部消化管の病気の早期発見に有効な検査です。日本の胃がん死亡率は年々減少傾向にあり、早期発見・治療により治るがんといわれています。しかし、胃がんは初期段階ではほとんど自覚症状がありませんので、内視鏡検査による早期発見が重要です。
以前から、胃の内視鏡検査はつらい検査の一つといわれてきました。しかし、機械の進歩は目覚ましく、細く飲みやすいカメラが開発され、検査の苦痛は少なくなっています。また、より苦しくない内視鏡検査として、鼻から挿入するカメラ(経鼻内視鏡)を使用している施設が増えています。従来の口から入れるカメラは挿入時、舌の付け根部分に触れるため、吐き気や痛みなど患者側の負担が大きかったのですが、鼻から入れると吐き気を催すこともなく、痛みもほとんど感じません。また、検査しながら会話ができますので、気になったことを互いにその場で確認することができます。
胃がんの発生率は年齢とともに高まりますので、30歳以上の方は、積極的に胃の内視鏡検査を受けることをお勧めします。
大腸の内視鏡検査について教えてください。
食生活の欧米化とともに急速に増加している大腸がんも、早期に発見できれば治癒する可能性が高いがんです。大腸がん検診では、まず便の潜血反応を調べます。陽性の場合は、便の中の血液が混じっており精密検査が必要です。精密検査では、通常大腸内視鏡検査を行います。大腸がんはもちろん、ポリープや腸炎など大腸の病気は分かります。
大腸がんもつらい検査の一つといわれています。腸の長さには個人差があり、腸の長い方は検査時間もかかり苦しいことがあります。また、おなかの手術を受けたことのある方は、腸の癒着のため痛みを感じることもあります。しかし、器具や技術の進歩により、従来に比べて検査は楽になってきています。多少の圧迫感はあっても、まったく痛みを感じずに検査を終える方もいます。
便秘気味、よくおなかが痛くなるなどの症状のある方、また、過去にポリープがあった方は、定期的な大腸内視鏡検査で、今の自分の腸の具合をしっかりと調べることをお勧めします。