2011年7月25日月曜日

「関節リウマチの診断と治療」

ゲスト/北海道内科リウマチ科病院 谷村 一秀 院長

関節リウマチとはどのような病気ですか。

 関節リウマチは原因不明の自己免疫性疾患です。自分自身を攻撃するリンパ球が、全身の関節や臓器に流れ、炎症を引き起こします。全身のいろいろな関節に腫れ、痛み、こわばりが生じ、進行すると軟骨や骨が破壊され、関節が変形し、日常生活に支障を来すようになります。また、微熱や倦怠(けんたい)感などの全身症状や肺、腎臓などの関節外臓器の症状を伴うこともあります。つまり、関節リウマチは単なる関節の病気ではなく、全身性の疾患なのです。
 関節リウマチは病態の解明とともに、診断と治療法が進歩し、発症早期の患者さんでは適切な治療によって、関節破壊をほぼ完全に防ぐことが可能となってきています。なかには治療を中止しても病気が再燃しない状態になる方もいます。また、病気が進んだ患者さんでも、日常生活レベルの大幅な改善がみられています。

関節リウマチの診断と治療について教えてください。

 関節を侵す病気はたくさんあり、関節リウマチの診断は慎重に行うべきですが、同時に、可能な限り発症の早期に診断することも重要です。専門医による十分な問診と診察、検査から総合的に判断しますが、これまで実施されてきた血液検査、レントゲン検査のほか、最近では関節エコー検査やMRI(磁気共鳴画像装置)検査が有用と考えられています。通常の検査では検出できない炎症を発見できる関節エコーや、関節エコーでも検出できない病変を見つけられるMRIは、早期診断に利用するだけでなく、より正確に病状を評価し、それに基づいて治療を強化することで、患者さんの予後を改善することも期待できます。
 関節リウマチの治療は、長期的に計画された治療が必要です。治療の中心は薬物療法で、関節の炎症を抑え、関節破壊の進行を防ぐことが目標です。抗リウマチ薬の投与を開始し、改善に乏しければ、痛みだけでなく関節破壊の進行も抑制できる生物学的製剤の導入を検討します。関節リウマチは全身の病気なので、薬物治療のみでなく、一般内科や整形外科、リハビリ科など診療科を超えた医療連携、チーム医療による診断、検査、治療が何よりも重要となります。
 手首、足首、特に手指の関節に原因不明の腫れ、こわばりなどのある方は、関節リウマチの疑いがありますので、一度専門医を受診されることをお勧めします。

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