2009年12月2日水曜日

「日本人における前立腺の病気」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

日本人の前立腺の病気について教えてください。
 日本人男性の平均寿命は79.1歳で、加齢に伴う前立腺肥大症と前立腺がんは増加の一途をたどっています。また、年齢に関係なく発症する前立腺炎は、高熱を伴う急性前立腺炎から、必ずしも細菌感染を伴わない慢性前立腺炎まであり、後者は排尿障害、陰嚢(いんのう)から肛門にかけての不快感、鼠径(そけい)部の痛み、下腹部の張りなどの症状が持続し、難治性の場合があります。
 前立腺肥大症は夜間の頻尿や排尿困難といった症状によって、患者の活動性と生活の質を著しく低下させるため、積極的な治療をお勧めします。早期であれば投薬で改善しますが、内視鏡的手術が必要な場合もあります。
 前立腺がんは、患者数が急上昇しており、2003年には天皇陛下が手術を受けられ、それをきっかけに一般の人々においても非常に関心の高いがんとなりました。

前立腺がんはどのようながんですか。
 米国では、男性のがん罹患率第1位で、日本でも患者数が増加、現在65歳以上でもっとも多いがんであり、総患者数が2020年には肺がんに次いで第2位まで上昇することが予想されています。診断が早期であれば、手術や放射線療法でほぼ100%の5年生存率が得られますが、進行するとホルモン療法という治療法はあるものの、根治は難しく、転移がある場合の5年生存率は30%程度です。このように壮年期男性の代表的ながんであり、早期診断・治療可能にすることが急務です。
 診断には直腸診、超音波検査、PSA検査が行われますが、中でも血液検査のPSA検査が有用です。米国では65歳以上の75%以上が検査を受けています。50歳を過ぎたら年に1回はPSA検査を受けることをお勧めします。特に身内に前立腺がんになったことがある人は、ぜひ受けてくだい。
 このがんは脂肪の多い食事など食生活を中心とした生活習慣、人種差が現時点で危険因子として挙げられています。中年以降の男性は大豆製品やトマト、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、緑茶をたくさん摂取し、日光浴や散歩などの有酸素運動を充分に行いましょう。

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