2009年4月1日水曜日

「白内障」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 医師

白内障について教えてください。

 白内障は、目の中のレンズである水晶体が濁る病気です。水晶体が濁ると、視界がかすんだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えたりします。進行とともに視力も低下します。一番多い原因は加齢による目の老化で、60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上となるとほぼ100%の人に白内障による視力低下が認められ、老人性白内障と呼ばれます。寿命が現在よりかなり短かった時代についた病名なので、老人と呼ぶのにふさわしくない年齢でも起こります。
 加齢以外の原因では、糖尿病、アトピー体質による発症、外傷などがあります。糖尿病の場合、高血糖が続くことで目の中の硝子体と呼ばれる成分に変化が起こり、早い人では30~40歳代で発症することもあります。アトピーから白内障になるのは、かゆみによる眼部への刺激、および体質が関係していると考えられます。外傷による白内障は、ボールが目にぶつかるなど強い物理的刺激によって発症します。この場合もほかの白内障と同様に自然に治癒することはありません。

白内障の治療について教えてください。

 初期には点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、一度起こった白内障を改善させることはできません。かつては、症状が進み、かなり見づらくなるまで待ってから手術をしていた時代があります。当時は現在より、手術のリスクが大きいとされていためです。しかし、最近では技術が大きく進歩し、精密な手術が行われるようになりました。その結果、白内障が進行するとかえって手術が難しくなるため、日常生活に不自由があれば、早めの手術が望ましい場合も増えて来ました。
 白内障手術の麻酔は基本的に局所麻酔で、麻酔時や手術中、手術後も強い痛みを感じることはほとんどありません。濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを埋め込む方法が一般的です。
 手術後早ければ翌朝にも視力回復を体感できますが、眼の状態が安定するまではしばらくかかります。強い近視だった人は、術後埋め込んだレンズによって屈折異常が改善し、普段の生活で眼鏡を必要としない時間が長くなることも多いです。
 一度手術した白内障が再発することはありません。ただし、眼内レンズを支えている嚢(ふくろのこと)の後ろが手術後数カ月~数年で濁る「後発白内障」になる可能性はあります。これも、レーザーを用いて外来で日帰り手術も可能です。

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