ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田 修 医師
女性の薄毛について教えてください。
薄毛というと男性の悩みというイメージがありますが、最近は女性で悩んでいる方も増えています。髪の毛は、健康な人でも1日100本程度は抜けています。それ以上の脱毛の場合、びまん性、分娩(ぶんべん)後、牽引(けんいん)性、批糠(ひこう)性、脂漏性(しろうせい)などが考えられます。
中でも女性の薄毛で一番多いのは、びまん性脱毛症で、頭部全体の髪が均等に脱毛して、毛髪が薄くなります。原因としては老化、ストレス、過剰なダイエット、ピルの服用、過度のヘアケアなどが挙げられます。分娩後脱毛症は、女性ホルモンのバランスによるもので、通常は産後1年以内に戻ります。牽引性脱毛症は、ポニーテールなど頭髪が継続して過度に引っ張られることが原因です。髪型を頭髪に負担の掛からないスタイルにすれば、自然に回復します。批糠性脱毛症は乾燥したフケを伴う脱毛症で、過度の洗髪や洗浄力の強いシャンプーによる皮脂の取りすぎが原因です。脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌によって頭皮が炎症を起こした状態で、食生活の向上やシャンプーを正しく使うことで改善します。
治療法、予防法について教えてください。
それぞれの脱毛の原因を取り除くことが大切です。服用する男性用育毛剤が病院で処方されるようになって、「自分にも」と受診する女性が増えていますが、女性には効果が期待できません。育毛用サプリメントや育毛剤で、実績のあるものを試してみてもいいでしょう。ただし、効果は人それぞれなので、自分に合ったものを見つけて継続することが肝心です。薄毛の正しい診断とその治療を行っている皮膚科で相談することをお勧めしますが、診察は保険適用となりますが、原因が病気に起因するものの治療以外には保険は適用されません。
規則正しい生活、バランスの良い食生活、ストレスの発散など、髪に良い習慣を心掛けるのも重要です。特に、肌や髪が作られる午後10時~午前2時までの睡眠は大切です。
髪に良い栄養としては、タンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンA、C、Eなどがあります。シャンプーも1日1回、就寝前が適切です。