2008年7月9日水曜日

「顔色と疾患」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 医師

顔色で、どのようなことが分かりますか。

臨床の場ではまず、患者さんの話を聞く問診、顔色や眼の輝き、表情などを見て健康状態を判断する視診、脈などをとる触診、胸や背中に聴診器を当て、指先などでたたいて音を確認する聴打診を行うのが一般的な流れです。
この中でも、「視診」は、健康状態を判断する大切な要素です。代表的な「顔色」は、たとえば青白いなら貧血・低血圧、赤っぽいなら発熱など、特に急性期の症状の判断に有効です。ほかにも黒ずんでいれば腎臓や副腎ホルモンの疾患、黄色っぽければ肝臓障害による黄疸(だん)を疑います。顔色以外でも、顔のむくみで心不全や腎不全、甲状腺の機能低下が考えられます。
生まれつき色白な人で赤みがないと「顔色が悪い」と指摘されることが多いと思いますが、検査をして異常がなければ心配する必要はありません。若い女性で青白い顔色の場合は、鉄欠乏性貧血であることが多いです。月経などで鉄分不足になりやすく、さらに無理なダイエットなどで症状が悪化します。白血病など大きな病気が隠れている場合もあるので、一度医師に相談することをお勧めします。

顔色以外で、視診で判断できることはありますか。

顔とともにむくみやすいのが足です。両足が立ち仕事や夕刻になるとむくむのは、あまり心配ありません。片足だけが時間に関係なくむくむようなら腎臓や心臓の疾患が考えられます。手指で、第1関節が太くなっているのは年齢による関節症である場合がほとんどですが、第2関節が太くなっているのは膠原(こうげん)病の可能性があります。また、指先が広がる「バチ状指」は肺疾患の人に多い症状です。爪の色やスジで病気が分かることもあります。
医師は、患者さんのさまざまな部位、状態、症状を見て診断の一助にします。本やインターネットで調べて自己診断するのは危険です。気になることがあったら、積極的に医師に相談してほしいと思います。

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