2008年7月2日水曜日

「血尿と膀胱(ぼうこう)がん」について

ゲスト/元町泌尿器科 西村 昌宏 医師

血尿について教えてください

血尿で考えられる病気としては、尿路感染症、尿路腫瘍、尿路結石、特発性腎出血、尿路結核などが挙げられます。中でも、特に注意が必要なのは、特別な症状がないのに突然、肉眼でも確認できる鮮やかな血尿が出た場合です。これは無症候性血尿と呼ばれるもので、膀胱がん、腎がん、腎盂(う)尿管がん、前立腺がんなど、泌尿器系がんである可能性があります。痛みや発熱などの症状がなく、翌日には血尿が治まっていたとしても、「疲れのせい」などと自己診断で放置せず、必ず泌尿器科を受診してください。
血尿の原因はほかにも膀胱炎や尿路結石などがありますが、これらは排尿痛や背部、側腹部の激痛などを伴うため発見は比較的容易です。

膀胱がんについて教えてください。

血尿が出て受診した場合、特に中高年には泌尿器科的精密検査が必要となります。主な検査としては、尿の細胞検査、採血、超音波検査、造影剤を注射して腎臓から膀胱の写真を撮る排せつ性尿路X線撮影、CTスキャン、膀胱鏡検査などを実施します。いずれも外来で行うことができます。
膀胱がんは、早期発見ができれば、内視鏡による切除手術で取り除くことが可能です。しかし、腫瘍の度合いによっては膀胱を摘出し、小腸で人工的な膀胱をつくるということにもなりかねません。早期発見・早期治療のためにも、血尿というサインを見逃さず、会社の検診や一般の健康診断などで尿に鮮血反応が見られた場合も、ぜひ泌尿器科で専門医の診断を受けてください。
また、年々増加傾向にある前立腺がんは、50歳を過ぎると発症率がぐっと高くなります。排尿回数が多い、残尿感がある、排尿まで5秒以上かかるなどの症状がある人は、年に一度、前立腺がんの検査を受けることをお勧めします。
がんはもちろんのこと、そのほかの疾患も早期に治療を始めれば、大事に至らずに済むことが多くあります。わずかでも気になることがあれば、恥ずかしい、面倒臭いなどと思わずに、専門医にご相談ください。

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