2007年1月24日水曜日

「これからの分娩(ぶんべん)」について

ゲスト/愛産婦人科 三宅 敏一 医師

出産に際して重要なことは何ですか。

妊娠した女性が受診される際に、まずじっくりご夫婦と話し合う時間を大切にしています。そのとき、お産には最悪の場合、妊婦の死亡、胎児・新生児の死亡をはじめとした合併症のリスクがあるということをお話しします。日本は世界的に見て、非常に分娩環境が良く、妊婦、新生児、乳児の死亡率も先進国でも低い部類に入ります。しかし、出産には常にリスクが伴うことを妊婦さん、そして父親になるご主人、双方のご両親などにきちんと理解していただきたいのです。
出産に際して医師および助産師が必死で取り組むのは当然ですが、妊婦さんやご主人にも同様の心構えで取り組んでもらい、リスクを極力減らしたいと考えています。

お産に関して、最近の傾向というのはありますか。

立ち会い出産を希望する人が増えています。ある調査では夫の八割以上が立ち会いを望んでいるという結果もあります。私は強制はしませんが立ち会い出産を推奨しています。夫の存在は、妊婦さんの支えになるということはもちろん、医療の現場を自分の目で見て納得するという意味合いからも、ぜひ立ち会ってほしいと考えています。
また、妊婦さんの希望としては、同じ助産師に、継続的にきめ細かなケアをしてもらいたいというのがあります。これは、今後産科医師が減少するという日本の現実を考える上でも重要なことだと思います。助産師と妊婦が協力して出産に取り組み、医師が万全のバックアップ体制をとる。ひとたび妊娠・分娩が急変すればいつでも医師が駆け付け帝王切開や緊急手術で対応する、あるいは高次医療機関へ搬送できる、という体制が必要なことはいうまでもありません。
助産師分娩は時間がかかりますが、出産スタイルも自由で、会陰(えいん)裂傷をおこしたり、会陰を切開することも少なく、また、妊婦さんのアメニティが高く、産後の回復も早いことが特徴です。今後は妊婦さん側の希望によってこのような出産が増えると思います。

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